第5章 魔術師の祭典
第92話『ミーティング』
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?!」
「結月……!」
なんと、落下が止まったのは結月のおかげだった。地面から氷柱を生み出し、晴登の身体を巻き込んで氷結させていたのだ。まるで巨大な腕に掴まれた気分である。だが冷たい。
その後、何やかんやで安全に着地できた。
「ありがとう結月、助かったよ」
「もういきなり落ちてきてびっくりしたんだから……」
「ごめんごめん」
結月は大きく安堵の息をついた。
うん、今のはさすがに心配させたと思う。以後気をつけよう。
「で、どうだった?」
「案自体は良かったと思うけど、空中だとやっぱりバランスをとるのが難しいかな」
「勢いが強いから、自由に飛ぶのも難しいかもな」
「それちょっと思った……」
伸太郎の意見に首肯。
ジェットはスピードとパワーに関しては申し分ないが、これでは飛べたとしても鳥というより飛行機だ。晴登の理想とは異なる。
加減ができればいいのだが、会得したてだからコツがわかるはずもなく。これは違う使い道を模索した方が良さそうだ。
「となると後は羽を生やして滑空したり、それとも気球みたいに空気を温めたり……」
「うーん、めんどくさそうだからパス」
「ん? そうか」
伸太郎が次々と出す代案に、ついに晴登は待ったをかけた。
そこまで来ると、もはや晴登1人の力ではない。強欲だが、晴登がいつでも自由に飛べる方法が欲しいのだ。
だからもう緋翼の案にあやかろうと思う。
「残念だったね、ハルト」
「大人しく魔導祭で師匠探すよ……」
「目処が立ったら、また手伝うからね」
「うん、ありがとう結月」
結月の優しさが心に沁みる。飛べるようになった暁には、何かお礼をしなきゃいけないな。
それにしても、自分で言っといて「師匠」って響き、何かいいな。実に魔術師っぽい。
「楽しみだな、魔導祭」
空を見上げて、晴登は期待を胸に呟いた。
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