第5章 魔術師の祭典
第92話『ミーティング』
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そできても、空を自由に飛ぶには厳しいんじゃないか?」
「た、確かに……」
「だから鳥みたいに飛びたいんだったら、ジェットみたいに風を使う必要がある。今までのやり方とはガラッと変わってくるぞ」
「なるほど……」
予想以上に的確なアドバイスに、少し感心してしまう。さすが天才。
彼の言う通り、風を放つにも射程がある。だからこのやり方だと、高さが射程を超えてしまえば、たちまち浮力を失ってしまうということだ。
それにしてもジェットと来たか。本来なら空気を燃やすことが前提なはずだが、果たして風のみでも可能だろうか?
「ただ闇雲に風を放つんじゃなくて、こう……絞るようにしたらどうだ?」
「うーん……やったことないけどやってみる」
再び足裏に意識を集中。しかも今度はさらに魔力を凝縮しなければならない。絞るように……つまり、できるだけ風を細くするのだ。圧縮、圧縮──
「そして放つ……うわぁぁぁ!?」
「ハルトー!?」
一瞬だった。のしかかる強い重力を一瞬感じたかと思うと、いつの間にか空中に身体が投げ出されていたのだ。
見下ろすと、結月の姿が豆粒くらいになっている。それどころか学校の屋上まで目に入った。
……どうやら飛んだはいいが、飛びすぎてしまったらしい。というか、これでは"跳んだ"の方が正しいだろう。
「こっから飛ばないと……!」
びっくりして風を放つのを止めてしまったが、ここからが本番。晴登は再び足裏に魔力を凝集する。
そして身体を横向きにして、いざヒーローみたいに空を飛んで──
「いや無理! 落ちる!」
できる訳がなかった。下を向いた拍子に、身体が既に下を向いていたのだ。ここから横向きに身体を起こすのは、素人の晴登には不可能である。
「あーもう仕方ない!」
晴登は一旦飛ぶことを諦め、着地の準備に入る。我ながら素早い判断だ。あれほど頭から落ちるのは嫌だと言っていたのに、何だか慣れてしまった気がする。いや怖いけども。
「いくぞ……」
崖から落ちた時よりは高度が低いが、それでもかなりの勢いが出る。また本気で風を放った方が良さそうだ。
「ここだ!!」
地面に風が届くくらいの高さになったところで、晴登は右手に力を込める。大丈夫、いける──
「……へ?」
地上から5mといったところか。不意に落下が停止する。おかげで、思わず間抜けな声が洩れてしまった。
一体どうしたというのだ。まだ風を使ってすらいないのだから、止まるはずがない。
晴登は原因を探ろうとキョロキョロと辺りを見回していると、ふと寒気を感じて身を震わせる。
「大丈夫、ハルト
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