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八条学園騒動記
第五百八十話 これも役作りその五

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「シェークスピアの作品ってね」
「独特の表現だよね」
「うん、シニカルでね」
「それでいて人間の本質を衝いた」
「物凄く鋭いものだね」
「あの表現を書けるとなると」 
 それこそというのだ。
「かなりの人生経験があってだよ」
「若し人生経験がないと」
「人間自分の中にないものは書けないよ」
 マルティにこの本質を話した。
「あるからね」
「書けるんだね」
「そしてそれを備えるには」
「人生経験だね」
「それがあって」
 まさにというのだ。
「書けるもので読んだりもしないと」
「備わらないんだね」
「うん、とにかくシェークスピアはね」
 彼はというのだ。
「相当な人生経験があって」
「それにだね」
「あとね」
 さらにというのだ。
「読書家でもあったね」
「そっちもなんだ」
「とにかくその中に凄いものがあって」
「書いていたんだ」
「そしてね」
 さらにというのだ。
「ヴェルディのそれも加わって」
「ファルスタッフはあんなとんでもない人でも」
「賢者で」 
 そしてというのだ。
「憎めないんだよ」
「フォルスタッフ以上に」
「うん、とんでもない人でも」
 このことは事実だが、いうのだ。
「魅力的なんだよ」
「そしてそのフォルスタッフにだね」
「君はなるけれど」
「ファルスタッフの方がいいね」
「そっちを意識してだね」
「演じるといいよ」
 演じるのはウィンザーの陽気な女房達のフォルスタッフでありファルスタッフのタイトルロールではないがというのだ。
「どうしようもないけれど憎めない賢者にね」
「なるといいんだね」
「そうだよ」
 こうマルティに話した。
「この度はね」
「それじゃあね」
「じゃあ飲むよ」
 マルティは言いながら実際に飲んだ。 
 今のジョッキを空けてからベンに言った。
「こうしてね」
「いい感じだよ」
「今僕顔真っ赤だよね」
「もうそうなっているよ」
「やっぱりそうだね」
「けれどまだだよ」 
 ベンも飲みつつ言う、彼も顔は真っ赤である。
「まだ飲まないとね」
「フォルスタッフにはだね」
「なれないよ」
「そうなんだね」
「だからもっと飲もう、あとね」
 ベンはマルティにチーズを差し出してこうも言った。
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