暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
圏内事件〜呼び出し編〜
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効果は覿面だった。
頭痛で臥せっていたはずの男は、物凄いダッシュで城門に駆けつけるや否や
「場所を変えてくれ」
一言だけ言って足早に丘を降り始めた。
その後に続いたアスナが目の前を通り過ぎた時点で、そしらぬ顔で木陰から出て合流する。
SAOプレイヤーにはごく珍しい体育系オーラを纏った大男は、坂道を降りきって市街に入ったところでようやく足を止めた。
がしゃりと高級そうなプレートアーマーを鳴らして振り向きざま、アスナでもレンでもなく、キリトに詰問する。
「誰から聞いたんだ」
「へ?」
『指輪のことを』という目的語が省略されている言葉を聞き、数瞬遅れた後、キリトが言う。
「………ギルド【黄金林檎】の元メンバーから」
途端、逆立つ短髪の下で、太い眉毛がびくりと動いた。
「名前は」
「ヨルコさん」
答えると、大男は一瞬放心したように視線を上向け、次いでふうぅぅっと長く息を吐いた。
そんなシュミットにレンは直球な質問をぶつけてみた。
「ねぇ、シュミットおじさん。昨日おじさんが持ってった槍を作ったグリムロックって人、今どこにいるか知らない?」
「し……知らん!!」
叫びながら、シュミットは激しく首を振る。
「ギルド解散以来一度も連絡してないからな。生きてるかどうかも知らなかったんだ!」
早口で言いながらも、視線が街並みのあちこちをさまよう。
まるで、どこからか槍が飛んでくるのを怖れるように。
と、ここで今まで黙っていたアスナが、穏やかな声で話しかけた。
「あのね、シュミットさん。私達は、黄金林檎のリーダーさんを殺した犯人を捜してるわけじゃないの。昨日の事件を起こした人を……もっと言えば、その手口を突き止めたいだけなのよ。《圏内》の安全を今までどおりに保つために」
わずかな間を取り、いっそうの真剣味を加えて続ける。
「残念だけど、現状で一番疑わしいのは、あの槍を鍛えた……そしてギルドリーダーさんの結婚相手でもあったグリムロックさんです。もちろん、誰かがそう見せかけようとしている可能性もあるけど、それを判断するためにも、どうしてもグリムロックさんに直接話を聞きたいの。今の居所か、あるいは連絡方法に心当たりがあったら、教えてくれませんか?」
大きなヘイゼルの瞳でじっと見詰められ、シュミットはわずかに上体を引いた。
どうやら、女性プレイヤーと話すのは大得意というわけではないらしい。キリトと同じく。
直後──
「………居所は本当にわからない。でも」
ぼそぼそとシュミットは話し始めた。
「当時、グリムロックが異常に気に入ってたNPCレストランがある。ほとんど毎日のように行ってたから、もしかしたら
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