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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜絶望と悲哀の小夜曲〜
圏内事件〜呼び出し編〜
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し、恐るべき先細りのヒエラルキーを維持し続けようとする攻略組全員のエゴが。
「まったく……、ほんとに嫌な性格してるよ、このデスゲームを創った奴は………」
キリトがぽつりと呟いた。
「だから……、この事件は解決しなきゃいかないんだよ。僕たちで」
その呟きに答えるように言ったレンの言葉にアスナが大きく頷く。
「ちょっとその辺で待ってて」
そう言い残し、アスナはすぐ目の前に迫った巨大な城門へと確かな足取りで歩み寄っていった。
レンとキリトは、手近な樹の幹に背中を預けた。
ギルドの本拠地として登録されている建築物の敷地には、基本的に所属メンバーしか立ち入ることはできない。プレイヤーホームと同じ扱いというわけだ。
だから本来ならば門番など必要ないのだが、人手に余裕のあるギルドは、警備というより来客の取り次ぎのために交代制で人員を配置していることが多い。
聖竜連合もその例に漏れず、麗々しい城門には二人の重装槍戦士が仁王像のように立ちはだかっていた。
──門番ってゆーか、RPGの中ボスだよなー絶対。などと考え、だいたい同じようなことを考えているようなキリトと顔を見合わせる。
そんなことをしている間にも、アスナは一直線に右側の男に近づくとさらりと挨拶した。
「こんにちは。わたし、血盟騎士団のアスナですけど」
すると、巨躯の戦士は一瞬上体をのけぞらせ、軽い声を出した。
「あっ、ども!ちゅーっす、お疲れっす!どーしたんすかこんなトコまで!」
………ぜんぜん仁王様でも中ボスでもなかった。
そんなチャラい仁王達にアスナは単刀直入に言った。
「ちょっとお宅のメンバーに用があって寄らせてもらったの。シュミットさんなんだけど、連絡してもらえます?」
すると男達は顔を見合わせ、仁王Aが首を捻った。
「あの人は今前線の迷宮区じゃないっすかね?」
それに仁王Bが答える。
「あ、でも、朝メシのときに、『今日は頭痛がするから休む』みたいなこと言ってたかも。もしかしたら自分の部屋に居るかもしれないから、呼んでみるッスね」
そう言って門番の一人が手早くメッセージを打ち、送信した。
すると、わずか三十秒ほどで返信があったらしく、門番は再びウインドウに指を走らせた。
やはりシュミットはこの城に立てこもっているのだ。
前線のダンジョンで戦闘中なら、そんな素早いレスポンスはとてもできない。
文面をちらっと見た門番は、困ったように眉を寄せた。
「やっぱ今日は休みみたいっすけど……でも、なんか、まず用件を聞け、とか言ってるんですけど」
するとアスナは、少し考え、短く答えを口にした。
「じゃあ、『指輪の件でお話が』とだけ伝えてください」
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