暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
圏内事件〜呼び出し編〜
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かと言うと、つまり自分達に振り分けられる経験値の増減は相手が握っているのと同じことなのだ。そりゃ怒りもするだろう。

経験値が握られているということは、必然的にレベルアップにも繋がってくる。

ゲーム攻略より、レベルアップ優先の聖竜連合としては、いくら攻略に貢献しているからといって、憎悪に似た感情を持ってしまうのは仕方のないことかもしれない。

そんな聖竜連合が、五十六層に華々しくギルド本部を構えたのはつい先日のことだ。

血盟騎士団のある五十五層のひとつ上なのは決して偶然ではあるまい。

豪勢極まる披露パーティーには、六王全員が呼ばれたが、《ホーム》よりも《城》、《要塞》と言うべき大仰さには驚き呆れたものだ。

アルゲードの転移門から移動したレン達は、街を見下ろす小高い丘にそびえ建つ要塞に向かって歩き出す。

何故かうえっぷとおくびを漏らすキリトを残し、レンとアスナはすたすたと赤レンガの坂道を登っていく。

銀の地に青いドラゴンを染め抜いたギルドフラッグが翻る白亜の尖塔群を見上げながら、キリトがしつこくぼやく。

「しっかし、いくら天下のDDA様と言っても、よくこんな物件買う金があるよなぁ。どうなんですかそのへん、KoBの副長としては」

「まーね、ギルドの人数だけで言えば、DDAはうちの倍はいるからね。それにしたってちょっと腑に落ちない感じはするけど。うちの会計のダイゼンさんは、『えろう高効率のファーミングスポットを何個も抱えてはるんやろなぁ』って言ってた」

「「へぇぇー」」

ファーミング、というのは、大量のモンスターを高回転で狩り続けることを指すMMO用語だ。

四十六層の《アリ谷》などが代表的なスポットだが、レンがよく利用している六十七層の《バンシーファーミング》は、危険すぎてやる者はいない。ほぼ連鎖的にモンスター(バンシー)が現れてくるからだ。

しかし、これらのファーミングスポットは、その場所で発生した時間あたりの経験値がある閾値を超えると、SAO世界を支配するデジタルの神である《カーディナル・システム》の手によって効率が下方修正されてしまう。

ゆえに、優秀なファーミングスポットは全プレイヤーに公開し、その恩恵が枯れるまで公平に分け合いましょう、というのが攻略組の紳士協定なのだが、DDAはそれに反してスポットを幾つか秘匿しているのではないか──というのがアスナの言葉の要旨である。

ズルイと言えばズルイが、DDAが強化されれば結果として攻略組総体も強化されるわけで、真っ向正面から糾弾するわけにもいかない。

その先には、最終的に、攻略組という存在そのものにつきまとう自己矛盾が現れてくるからだ。

デスゲームからの解放を錦の御旗に、システムが供給するリソースの大部分を独占
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