第二百八十五話 色鉛筆その六
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「お酒も無理に飲みながらね」
「無理になの」
「ウイスキーなんか美味しくないって言ってね」
坂口安吾だけじゃなくて当時はウィスキィとか書いていた。
「それでね」
「飲んでいたのね」
「我慢して飲んでいるとか」
「お酒無理して飲んだら」
それこそとだ、香織さんは眉を顰めさせて言った。
「身体に悪いわよ」
「お酒は楽しく飲まないとね」
「そうだよね、けれどね」
それでもだったのだ。
「坂口安吾もそれで太宰もね」
「無理して飲んでたのね」
「そうだったんだ」
「何ていうかね」
「あまりいい感じしないよね」
「私としてはね」
顔を顰めさせたままの返事が何よりの意思表示だった。
「それはね」
「僕もそう思うけれどね」
「そういうことしてたのね」
「あの人達はね、けれどやっぱり僕が思う無頼は」
それはというと。
「普通に飲むことだよ」
「遊んでよね」
「楽しんでね」
「それがいいわよね」
「無頼に正しい間違いがあるかどうかは知らないけれど」
それでもた。
「無理して遊ぶことはね」
「正しい無頼じゃないわね」
「そう思うよ」
僕としてはだ。
「やっぱりね」
「そうよね」
「親父のやり方が正しいかな」
親父は無頼派だと思う、権力とか権威は気にしないしだ。
「遊びたいから遊ぶ」
「そうした考えと行動がなのね」
「本当の意味での無頼じゃないかな」
「そうなのね」
「うん、坂口安吾みたいに無理してもね」
それこそだ。
「自分が辛いだけだよ」
「そうよね」
「だからね」
僕が思うにだ。
「あそぶにもね」
「やり方次第ね」
「そう思うよ」
本当にだ。
「それは」
「無頼派にしても」
「それで今は麻薬は犯罪で」
手を出したらだ。
「しかも身体もね」
「ボロボロになるだけだから」
「したら駄目だよ」
「今はそうよね」
「お酒はいいにしても」
それでもとだ。
「麻薬はね」
「無頼派でもしたら駄目ね」
「それは絶対だよ」
何があってもだ。
「したら破滅だよ」
「それをしないことも無頼派だね」
「無頼派は生き方で」
親父が言うにはだ。
「犯罪を犯すことじゃないから」
「若し犯罪にまでいったら」
「もうそれは犯罪者で」
文字通りにだ。
「無頼派じゃなくなるんだ」
「そうなのね」
「それで道もね」
人のそれもだ。
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