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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
第二百八十五話 色鉛筆その一

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               第二百八十五話  色鉛筆
 僕と香織さんは百貨店に入った、するとだった。
 百貨店の中はクリスマス一色だった、カラーリングは緑と赤ばかりでサンタさんやツリーが所々にあって。
 それでクリスマスソングも聞こえる、僕はその百貨店の中を見て言った。
「もうね」
「すっかりクリスマス一色ね」 
 香織さんから言ってきた。
「そうなってるわね」
「テストが終わったら」
 もうだ。
「いきなりだね」
「いや、十二月になったら」
 その時はだ。
「もうね」
「クリスマスだね」
「街はそれ一色でしょ」
「そうなるんだ」
「だからね」 
 それでというのだ。
「ただ私達がこれまでテストばかりで」
「それで頭が一杯で」
「クリスマスには気付かなかったのよ」 
 そうだというのだ。
「そうだったのよ」
「テスト大事だからね」 
 学生にとっては絶対のことだ。
「どうしてもね」
「そうなるでしょ」
「確かにね」
「だから私達は気付いたのよ」
「クリスマスの色に」
「そうなのよ。それでね」
「それで?」
「いや、クリスマス前の百貨店も」
 どうかとだ、香織さんは微笑んで話した。
「いいわね」
「そうだね、華やかでね」
「楽し気でね」
「活気があって」
 クリスマスの商売の為にだ。
「本当にね」
「賑やかね」
「ええ、だからね」
 それでとだ、香織さんは僕に笑顔で話した。
「私この季節好きなのよ」
「クリスマス前が」
「それで冬自体もね」
 今度は季節の話をした。
「好きなの」
「そうなんだ」
「そう、それでね」
「それで?」
「お正月も節分もバレンタインもね」
「全部好きなんだ」
「成人式もね」
 一月のこの時もというのだ。
「私はまだだけれど」
「好きなんだ」
「二十歳まで成長出来たってことね」
「そう、それで成人したっていうね」
「それは凄く目出度いことだから」
 それでというのだ。
「私好きなのよ。昔はそこまで生きることも難しかったでしょ」
「そうそう、大人になることもね」
 そのことすらだ。
「昔はほぼ確実じゃなかったのよ」
「子供ってすぐに亡くなったから」
「もう昨日元気だった子が」
「風邪で急に亡くなるとか」
「よくあったからね」
「そのことを聞いて思ったの」
「成人式迎えられるだけでも素晴らしいね」
 言われてみればだ。
「確かに」
「だからこの日は好きで私もね」
「迎えたいんだね」
「そう思ってるわ」
 実際にというのだ。
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