第一部 勇者パーティ結成!
魔王はいつでも回りを気にしない。
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「暇だわ〜。なにか起きないかなー。」
そう呟くのは魔界の最高権力者、魔王である。彼女の名はカイゼル・ヘルドラ・ヴァジキューレ。こんな名前だが歴とした女である。その彼女は座り心地の良さそうな椅子にふんぞり返りながらポテトチップス(コンソメ)を食べていた。
「ねえ、あたしが魔王になってから来た勇者の数ってどんぐらいだったけ?」
「これまでに1547ですね。そのうち魔王様にダメージを食らわしたのは124です。」
魔王の発言に答えたのは燕尾服を着た、いかにもな執事である。その隣にはメイドが二人直立している。
「そんなもんかー。歯応えがあるような勇者って少ないからもっと少ないもんだと思ってたけど、結構倒してるじゃん、あたし。」
「これまでの歴代魔王の中でも上位に入りますね。」
「で、現在の魔界と人間界の様子は?」
執事が書類を捲りながら現状を報告する。
「現在、魔界では議院で決めるような議案も少なく、定期会議もセルバス議員やクトロリア議員等の魔王様をよく思わない野党側の不満を言う場になっていますね。また、人間界は各地に支配している土地はありますが征服には手を焼いている状況ですね。魔界から出ると力が制限されることが枷になっている様子です。」
「そうそう、あの爺共が、まだ征服出来ないのか、とかごちゃごちゃ言ってたわね。あの老害共が!自分等も出来ない癖にとやかく言いやがって・・・!」
「仕方ありません。それが野党ですから。」
「そう考えると楽しいこと全くないわね。・・・・・・そうだ!」
魔王はなにか思い付いたのか勢いよく立ち上がった。
そして一言、最高の笑顔と共に
「あたし、魔界滅ぼすわ。」
______________
場所は変わって人間界。
のどかな農に村に住む少年、アレクは勇者を夢見る少年であった。今日も修行の一貫として農作業を人一倍こなし、頑張っていた。
そんな彼が15歳となった誕生日。彼は勇者となり、魔王を倒す旅に出ることを決意する。
それを聞いた母親は、別れを惜しみながらも息子の夢を応援し、なけなしのお金を託すのであった。
誕生日の翌日
「行ってきます!母さん!」
「頑張って無事に帰ってくるのよー!」
そんな母の声を背中に受け、アレクは村から飛び出していった。
「・・・これも遺伝なのかしらねぇ。」
そう母親は遠くを見ながら呟くのであった。
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