第四幕その九
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「何か」
「そうかしら」
「どうもね」
「あたし歯はあるけれどね」
「ずっとお口にある歯だよね」
「そうよ、そんな歯で痛むこともね」
今の木の様にというのです。
「ないわよ」
「そうだよね」
「けれどね」
それでもというのです。
「痛みは一瞬の方がいいでしょ」
「だからそう言うんだね」
「後が楽になるならね」
「じゃあ」
木はつぎはぎ娘のその言葉を聞いてでした、彼女の提案に同意しようとしました。ですがここで、でした。
木はふとこう言いました。
「あれっ」
「どうしたの?」
「今歯が何本か抜け落ちたよ」
こうつぎはぎ娘に答えました。
「それでまたね」
「歯が抜けたの」
「今どんどん抜けてるよ」
こう言ってでした、木はその抜けた歯達をぷっぷと吹き出しはじめました、すると地面にとても大きな幹の色の歯がどすんどすんと落ちて来ました。木が大きいだけに歯も物凄い大きさです。
そして木は三十本位出してからまた言いました。
「それで今舌でお口の中確かめたら」
「どうなってるの?」
「新しい歯が生えてきてるよ」
永久歯がというのです。
「どんどんね」
「そうなの」
「うん、それで今あっという間にね」
「生え揃ったのね」
「そうなったよ」
こう言うのでした。
「あっという間にね」
「それじゃあ痛みは」
「もうないよ」
そうなったというのです。
「本当にね」
「それはいいことね」
「本当にね」
実際にと言う木でした。
「いや。本当によかったよ」
「そうね、ただね」
「ただ?」
「あんた本当にお酒はね」
つぎはぎ娘は木にあらためて言いました。
「程々にした方がいいわよ」
「いつも飲むことはだね」
「例え痛くてそれを忘れる為でもね」
「いつも飲むことはだね」
「止めないとね」
こう言うのでした。
「またこんな騒ぎになるわよ」
「そうだよね」
「そこはわかってね、というかね」
「というか?」
「痛いところ、困ったところがあったら」
その場合はというのです。
「お医者さんのところに行けばいいのよ」
「木でもだね」
「そうよ、オズの国のお医者さんはどんな生きものでも診察出来るのよ」
ドロシーも言ってきました。
「だからね」
「また何処か痛くなったら」
「その時はね」
「お医者さんのところに行って」
「そうしてね」
そのうえでというのです。
「診てもらってね」
「それじゃあね」
「そういうことでね、けれどこれでね」
「うん、一件落着だね」
トトが言ってきました。
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