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ドリトル先生と琵琶湖の鯰
第四幕その十

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「もう八条学園の水族館にいるからね」
「だからだね」
「彼等は採集しなくて」
「他の種類の生きものを採集していく」
「そうしていくのね」
「そうだよ、そういうことでやっていくよ」
 こう言ってです、先生は午後も頑張りました。そうして朝早くから夕暮れまで頑張ってからホテルで、でした。
 和食を食べました、鯉のお刺身やお味噌汁、お豆腐が出ていて他にはです。
 動物の皆が見たことがない食べものを見てそれで皆で先生に尋ねました。
「これ何?」
「見たことないけれど」
「これは一体何かな」
「というか食べもの?」
「干したものかしら」
「これが鮒寿司だよ」
 先生はその小さくて干物みたいなものについてお話しました。
「滋賀県名物のね」
「へえ、それがなんだ」
「お寿司には見えないけれど」
「それでもなんだ」
「それが鮒寿司なの」
「そうなんだ」
「そうだよ、これが鮒寿司で」
 それでというのです。
「珍味として知られているんだ」
「ううん、握り寿司とは違うね」
「巻き寿司やちらし寿司とも」
「そういえばご飯もあるね」
「お魚と一緒に」
「随分小さいけれど」
「これは馴れ寿司という古いお寿司で」
 それでというのです。
「お魚の中にご飯を入れてずっとお酢の中に入れたものなんだ」
「ふうん、そうなんだ」
「それが鮒寿司なの」
「本当に握り寿司と全く違うけれど」
「そんなお寿司だったんだ」
「本来は馴れ寿司がお寿司の主流でね」
 そうだったというのです。
「その代わりに出されたのが握り寿司だったんだ」
「今じゃお寿司っていうとそれだけれど」
「握り寿司だけれど」
「本来は違っていたのね」
「馴れ寿司がお寿司で」
「握り寿司はなかったの」
「握り寿司が出たのは江戸時代だったからね」 
 その頃からのものだというのです。
「本当にそれまでは、だよ」
「馴れ寿司だったんだ」
「それでその鮒寿司が馴れ寿司で」
「昔ながらのお寿司なのね」
「そうなんだ、もう長い間お酢に漬けていて発酵さえしていて」
 それでというのです。
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