第六十五話 ヒューロー湖畔の戦い・前編
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るまで抵抗を試みたが、こうも弾幕が激しくては手も足も出ない。
(……殿下が来られるまで、待機していよう)
兵士達から犠牲者を出さないように勤める事に決めた。
そんな時だった。
ウルグは聞いた事の無い、『何かが蒸発する音』を聞いたのは。
「何の音だ?」
「分かりません、ですが敵の攻撃が弱まったような……」
ウルグは隣に居た士官に聞いたが、士官も分からなかった様だ。
二人は意を決して塹壕から顔を出すと、巨大なエントが謎の光線魔法の直撃を受けていた。
言うまでも無くマクシミリアンの破壊光線だ。
三分で来る……と書かれていた通りに、マクシミリアンはフォート・ノワールから、『エア・ジェット』で時間通りに飛んできた。
『グワアアアアアァァァ!!』
エントは、悲鳴を上げると、青白い炎を纏って根元からボキリと折れた。
折れたエントは、重力に惹かれて獣達の密集している所に倒れた。
倒れたエントに押しつぶされた獣達は、大混乱を引き起こしたが、何やら様子がおかしい
「ココハ……?」
「ウウウ、メガイタイ」
以前、マクシミリアンの破壊光線が精霊魔法を打ち払ったように、破壊光線の効果で正気を取り戻すことが出来た。
兵士達も塹壕から顔を出し、切り株だけ残ったエントを見て大きな歓声を上げた。
『トリステイン王国万歳!』
『ヌーベルトリステイン万歳!』
上空でホバリングをしているマクシミリアンに大歓声が向けられた。
塹壕から出たウルグは、その光景を一瞥すると、獣達の方に視線を向けた。
「獣の連中が撤退を始めている」
「一体何があったんでしょう?」
「分からんが、我らの勝ちらしい」
「これで一件落着ですね」
「だが結局、殿下のお力を借りてしまった」
「この新世界は、何もかもが我々の常識から懸け離れていました。仕方ありません」
「そうだな……さて、後片付けをしよう」
そう言ってウルグは、兵士達の破壊されたガトリング砲やカノン砲の後片付けをするように命令した。
だが、これで一件落着……とは行かなかった。
空の遥か彼方で、ゴロゴロと雷鳴が鳴るのと同時に、猛烈な電撃が上空のマクシミリアンを打った。
「殿下!!!」
兵士達から悲鳴が上がり、マクシミリアンは真っ逆さまに湖に落ちた。
戦闘が終わり静かになった湖面に、高い水柱が上がった。
空の彼方から、雷色の翼を持つ雷の精霊、怪鳥『サンダーバード』が現れた。
☆ ☆ ☆
ヒューロー湖畔の戦いの一日前……
誘引任務を
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