第六十五話 ヒューロー湖畔の戦い・前編
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の実は、ガトリング砲を破壊してしまった。
たかが木の実だと思われたが、それほどの威力だった。
「ああっ!? 新兵器が!」
「もったいない!」
兵士達から悲鳴が上がった。
エントから放たれる木の実は、陣地全体を射程内に置いていて、さながら上空からの機銃掃射の様な、猛烈な弾幕に兵士達は塹壕から出ることが出来なかった。
一度に数百もの木の実を撃ち出すエントに対し、反撃を来る事もできなくなり、遂にヌーベルトリステインの砲撃とガトリング掃射は止んでしまった。
「敵が殺到してきます!」
「総員にマスクを着用するように通達」
ウルグ自身も塹壕内に逃げ込み、兵士達にガスマスクを着ける様に命令した。
マクシミリアンとウルグの策の一つ、ガス攻撃を使用する時が来た。
死ぬガスではなく、催涙ガスの類で、マクシミリアンが調合し、ウルグに託した。
催涙ガスの詰まった秘薬樽は、陣地の各所に配置されていて、いつでも作動可能だ。
「風向きは?」
「都合よく、我々の方が風上です」
「では、直ちに作戦開始」
ウルグが命令を出すと、配置されていた秘薬樽の蓋が吹き飛び、無色透明のガスが噴き出した。
催涙ガスは、風に乗って、獣達の所へと流れていき……
『グワワワアアァ!』
『メガ! メガァァァ!』』
身体能力に優れる獣達にとって、この催涙ガスは地獄の苦しみと言っても大袈裟でないほどの痛みと苦しみを与えた。
獣達が動けなくなった事で、塹壕への接近は阻まれた。
「一先ずは安全だが……危機的状況には変わりは無いな」
ガスマスクを着用したウルグは、塹壕の底にへばり付いた状況で言った。
ちなみに、このガスマスク。科学的に作られた品でなく、ただの革製のマスクにガラス眼鏡をくっ付けて『浄化』の魔法を施した一種のマジックアイテムだ。
どれ程の木の実を放っただろう。
エントは既に十万発もの木の実を放ち続けていたが、弾切れを起こす様子は無かった。
「将軍。総督殿下にご出馬を願い出ましょう」
「……止むを得ないか」
そう言って、ウルグはウォーター・ビットを使って通信を始めた。
一分と掛からずに、マクシミリアンの返信は来た。
曰く
『三分で来る』
と、だけ書かれていた。
「三分、か……あ、この事を各部署に連絡だ」
「了解です」
士官がウォーター・ビットで通信を行っている時、ウルグは足元にあった缶詰の空き缶を拾うと塹壕の外へ放り投げた。
空き缶は瞬く間に穴だらけになって、ウルグの元に戻ってきた。
「力押しを試してみようと思ったが、流石に無理か……」
ウルグは、マクシミリアンが到着す
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