第六十五話 ヒューロー湖畔の戦い・前編
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て、小高い丘に設置された砲撃陣地から24リーブル砲が次々と火を噴いた。
大砲こそ旧式の前装式の鉄製カノン砲だったが、弾種は最新鋭の榴弾で、別名『探知榴弾』と呼ばれていた。
榴弾に探知が施されていて、地上に到達した場合や、砲弾が上空の敵に近づいた場合に探知が作動して爆発する様に、地上と対空の両方に使用できるように作られている。
砲弾は空中で放物線を描き、敵軍先鋒のど真ん中で炸裂した。
「着弾点最良!」
他の砲弾も次々と炸裂し、大小様々な獣を殺傷した。
『散らばるのだ!』
砲撃を避ける為に、エントが他の獣達に散開を命令すると、次は地雷原に引っかかり爆炎が所々で上がった。
「やった〜〜!!」
「いいぞ!」
広げられた塹壕網から歓声が上がった。
戦闘開始から一時間が経過したが、獣の軍勢は未だに塹壕網にたどり着く事さえ出来なかった。
戦闘前は絶望的と思われたが、こうも圧倒的な戦果を上げ続けると、一部の兵士の中から緊張感が無くなり、気が緩んでくるものが現れた。
『我々だけで大丈夫なのではないだろうか?』
『あのデカイ木も、さっきから全然動かないしいけるかも』
と、いう『緩み』が伝染病の様に兵士達に蔓延し始めた。
『バカモノ! 敵を侮るな!!』
『拡声』の魔法によって、一際大きいウルグの一喝が、陣地全体に響き、兵士達の緩んだ士気を引き締めた。
砲撃の隙間をぬって獣達が肉薄する。
獣の軍勢の強みの一つである、人海戦術ならぬ獣海戦術がその本領を発揮し始めた。
迫る獣達に対し、今度は機関銃陣地に設置された10基ものガトリング砲が火を噴いた。
猛烈な弾幕が戦場を流血で彩る。
機関銃弾は肉切り包丁の様に獣や亜人を切り裂いた。
鉄条網も真価を発揮した。
ガトリング砲の弾幕を嫌って迂回しようとする獣を阻む。
『イタタ! イタイ!!』
獣達は有刺鉄線に引っ掛かり、足が止まったところを狙い撃ちにされた。
このまま日が暮れる、と思われたその時、沈黙を保っていたエントが動いた。
『オオオオオォォ!』
吼えたエントは、数千数百は在ろうかという、枝とブルブルと震えると、何かが破裂する音と同時に枝から小さく丸い『何か』をヌーベルトリステイン軍に吐き出した。
無数の『何か』が一斉にヌーベルトリステインの陣地に降り注ぐ。エントが飛ばしたモノれ『木の実』だった。木の実を機関銃の様に撃ち付けて来た。
最初に狙われたのは、機関銃陣地だった。
ズガガガガガガガガ!!
「ヤバイぞ! 塹壕に入れ!!」
兵士達は、ガトリング砲を放置して塹壕に飛び込むと、エントから放たれた木
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