第六十五話 ヒューロー湖畔の戦い・前編
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関係だが薄っすらと巨大な大樹が見えた。しかもその大樹は少しづつだが、時間が経つにつれ大きくなり、此方に近づいて来るのが分かった。
「報告にあった。大樹の精霊か!」
「あわわわわ……」
騒ぎを聞きつけ、他の兵士達も遥か彼方に見えるエントの姿を見て動揺していた。
「一体、何メイルぐらいあるんだ?」
「分からんが100メイル以上ある……あんなのを相手にするのか?」
兵士達の士気は、一目で分かるほど低下していた。
これはいけない、と思ったウルグは士気を鼓舞した。
『うろたえるな! 我々が用意した新兵器は、大樹の化け物など物の数ではない! それに万が一、戦況が苦しくなれば。王太子殿下が救援に来て下さる!』
ウルグは『拡声』の魔法で兵士を激励した。
「そ、そうだ。まだ俺らには王太子殿下が居られる」
「まだ、負けたわけじゃない!」
結果、成功し士気の崩壊を防ぐことが出来た。
(だが、あの巨体では……)
いくら、ヌーベルトリステイン軍が最新鋭の武器を揃えていても、マクシミリアンとウルグが秘策を練っていても、あの巨体は想定外だ。
「それでは、殿下に御出馬を願いましょう」
「……いや、駄目だ」
士官の一人が、マクシミリアンの出馬を乞うたが、ウルグは突っぱねた。
「何故ですか!? 先ほどの激励では、殿下のご出馬を承諾される口ぶりでした。それに我々では『アレ』は無理です!」
部下の言葉をウルグは黙って聞いた。そして……
「確かに、あの大樹の精霊は我々だけでは倒すのは難しいと思う。だが、いつもいつも困った時に殿下に頼っては、頼り癖が付いてしまって、兵士達の踏ん張りが利かなくなるのでは、と私は思っている」
「……」
「殿下は何時かは本国へ帰られるのだ。我々が不甲斐ないと、いざ帰国という時に殿下に御心配をお掛けしてしまう。そうしない為にも、我々は成長しなくてはならない。この魍魎跋扈する新世界で我々だけで生き抜く為にな」
山の向こう側だったエントは、遂に山頂に到達した。
エントの足元には、獣の軍勢が雲霞の如く集まり、こちらの陣地へ猛進しているのが分かった。
「殿下のご出馬は最後の手段だ。まずは我々だけで何とかする。直ちに各部署の責任者を集めてくれ」
ウルグは指令を発し、ウォーター・ビットで各部隊に召集をかけた。激突は目の前に迫っていた。
☆ ☆ ☆
太陽が真上に来る頃に、獣の軍勢は警戒ラインにまで到達し、遂に戦端は開かれた。
ウォーター・ビットからの送られてくるデータを参考にし
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