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曇天に哭く修羅
第四部
準決勝第一試合
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でも五発以内で禁鞭によって確殺されるだろう。

翔は背筋が冷やりとするどころか体が凍り付きそうになるほど緊張した。

一方の向子はというと、思ったよりも粘っている翔に対して感心を持つ。


(力を出し切る前に終わるかなとも予想してたんだけど、知らない内に強くなってたみたいだね。じゃあもっとやっても大丈夫か)


禁鞭の動きが激しくなり、少しずつ残像が増え、翔の逃げ道を塞いでいく。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「折角だから、彼の望み通り、出せるだけの力を出してもらおう」


数千に及ぶ鞭の残像が武台の上で荒れ狂い、翔を狙って次々と殺到。


(躱し切れん!)


彼は両手に魔晄(まこう)を集める。

握った拳は金色に輝いた。

黒鋼流の【禍孔雀(かくじゃく)】だ。


「【紫電孤虐(しでんこぎゃく)】」


更に魔術師の異能で紫の雷電を纏う。

身体強化に加えて高速移動。

翔は迫り来る禁鞭を禍孔雀で殴り、爆発させて迎撃していくも、禁鞭は特に破損することは無く、少し押され気味な状態。


盛者必衰(ウィフォール)


翔がその超能力を発動させた途端、急に禁鞭の動きが遅くなっていった。

それだけでなく、翔の動きも上がる。

難なく禁鞭の連撃を打ち払う。


「お、とうとう公式戦でそれを出したね。じゃあこっちも行かせてもらうよー」


向子は思っていた。

春斗より力を使うことになると。

翔なら彼より頑丈なので、少々手荒になっても死なないだろうとポンポン攻める。


「【繽紛無垠(ピロテクニマ)】」


既に『衝撃』を付与された空間となっている武台でその【異能】を使えばどうなるか。


(是非とも生き残ってほしいもんだよ)


見えない衝撃は数千ケ所で同時に炸裂。

その衝撃は連続で発生し途切れない。

舞台上の空気を揺らし、目視できない大気中の小さな物質ならびに分子を過剰に運動。

熱が生まれて燃焼を開始。

縦横無尽に重なる衝撃と火炎は武台を覆う結界をあっさりと粉砕した。


「今の翔くんなら【破降(はごう)】を使わずとも案外平気な顔をして出てくるかもしれない」

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