第六十話 朝早くからその八
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「何かあったらすぐにめくれるじゃない」
「それはそうだけれどね」
「足も見えるし冷えるし」
「あんた冷え性なの?」
「そうじゃないけれど」
別に酷くはないと思います、私自身では。
「それでもよ」
「好きじゃないのね」
「それは絶対に無理よ」
「今時ミニスカートが駄目っていうのもね」
「珍しいっていうのね」
「そうよ、それ位普通でしょ」
「だって滅多に穿いたことないから」
それが一番の理由です。
「中学の時からね」
「それでなのね」
「ええ、ちょっとね」
「仕方ないわね、じゃあロングスカートにしなさい」
「スカートは絶対なのね」
「やっぱり女の子はスカートよ」
これがお母さんの考えみたいです。
「お洒落のね」
「確かにスカートが第一だけれど」
「女の人の正装はスカートでしょ」
「ええ、それはね」
欧州の服装ならです。
「そうよね」
「だからよ」
「今の私にも言うのね」
「そうよ、だからスカート出して」
そうしてというのです、何か今日のお母さんはいつも以上に私に対してお洒落のことを言ってきます。
「そうしてね」
「それを穿いてなのね」
「彼をお迎えしなさい」
「わかったわ、じゃあ着替えてくるわね」
「あとうっすらとね」
「うっすらと?」
「メイク、それはいいわね」
お母さんはこっちのことには笑ってすぐに打ち消しました。
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