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夢幻水滸伝
第百四十八話 蝦夷へその十一
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「そちらの味もやな」
「出す様にしています」
「全体的に牡丹鍋に似ているな」
 遠藤は今話に出た猪の鍋の話をした。
「組み合わせは」
「意識してそうしています」
 千歳もこう答えた。
「熊と猪ではまた違いますが」
「それでもか」
「あの鍋を参考にして」
 そのうえでというのだ。
「作っています」
「成程な」
「とにかく匂いをです」
 熊肉のそれをというのだ。
「消すことをです」
「念頭に置いていたか」
「私はこの世界では慣れているので」
 熊のその匂いにというのだ。
「特に何も思わないですが」
「ああ、そういえば蝦夷はアイヌの土地で」
「はい、アイヌ料理もいつも食べていまして」
 それでとだ、千歳は川端に答えた。
「アイヌ料理ではお味噌や生姜は使わないので」
「それでやな」
「野生の生きものを狩猟や釣りで獲って」
「調味料はお塩位か」
「そうしたもので素材の味や匂いがそのままなので」
 それでというのだ。
「いつもそうしたものを食べているので」
「それで、なのか」
「私は特にです」
「匂いは気にならないか」
「普通に食べられます」
 こう川端そして遠藤に話した。
「むしろいい匂いとです」
「思っているんやな」
「そう感じるか」
「むしろ」
 こう答えた。
「私の場合は、ただ」
「わい等はな」
「野生の生きものも食う時はあるが」
「その時もお味噌とか香辛料使って匂いを消すさかいな」
「どうしてもな」
「そうですね、本土ではお味噌特にお醤油があるので」
 それでというのだ。
「味付けに匂い消しもですね」
「するで、特にな」
 川端は熊鍋を食べつつ話した、その肉は固いが確かに美味く食べがいのある味だった。それを食べて言うのだった。
「お醤油はな」
「よく使われますね」
「はっきり言うて和食はな」
「まずお醤油ですね」
「万能の調味料やな」
 こう言っていいものだというのだ。
「まさに」
「そうですよね」
「けどアイヌ料理ではやな」
「蝦夷のお料理でも大和系のお料理はです」
 即ち本土から来た者達の料理はというのだ、この世界での民族は種族とはまた別に区分されていて例えばユダヤ系も様々な種族から構成されている。千歳はアイヌ民族になるが人間のアイヌ民族もエルフ等のアイヌ民族の存在しているのだ。
「お醤油やお味噌を使います」
「そうだな」
 遠藤も応えた。
「そちらは」
「はい、ちなみに海鮮丼にです」 
 千歳はここでにんまりとして言った。
「お醤油をたらすと」
「味がさらによくなるな」
「最高と言っていいまでにな」
 川端も遠藤もその通りと返す。
「海胆やイクラ、蟹の身にお醤油が加わって」
「たまらん味になるわ」
「あの味は最
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