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戦国異伝供書
第百三話 緑から白へその三
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「そうしてこれまで数えきれぬまでの戦を繰り返してきましたが」
「関東管領の座を巡ってな」
「そうしてきましたが」
「それは当家がおらぬ場合でな」
「当家はどちらも敵にしていますしな」
「武蔵から上野に兵を進めるつもりじゃ」
「そうなると、ですな」
「我等が敵でな」
 そうなるからだというのだ。
「それでじゃ」
「手を結んで共に我等にあたりますな」
「そういうことじゃ、だから当家にとってはじゃ」
「両上杉が敵ですな」
「山内も扇谷もな」
 そのどちらもというのだ。
「そうなるのじゃ」
「だからですな」
「両方を倒したいが」
「それでもですな」
「流石にわしも歳じゃ」
 早雲はここで自分のことを笑って話した、目ははっきり見えていて耳もいい。そして歯も一本も抜けていない。だがそれでも言うのだ。
「間もなく米寿、ここまでくるとな」
「流石にですか」
「長くないわ」
 こう言うのだった。
「だからお主に後を託すが」
「それがしの代でもですな」
「やはりまだな」
「両家を倒すには力が足りませぬな」
「どうしてもな」
「だからですな」
「この者の代になってからであろう」
 まだ赤子の伊豆千代を見て話した。
「それはな」
「では伊豆千代が当家の主になるまでは」
「力をつけることじゃ」
「領地を治め両上杉と戦い徐々に勝ち」
「そうしていってな」 
 そのうえでというのだ。
「伊豆千代につなげるぞ」
「わかり申した」
「今力をつければ両上杉を倒す力が備わり」
 その伊豆千代の代にはというのだ。
「武蔵に上野を手に入れてな」
「そうしてですな」
「そこから上総、下総を治める里見氏も降し」
「関東の東の他の家々もですな」
「八家あるが」
 佐竹家や結城家、宇都宮家等だ。関東に古くからある名家達だ。
「どの家もじゃ」
「圧することが出来ますな」
「そして当家が関東の覇者になる」
「そうなることが出来ますな」
「北条家はかつて幕府の執権であった」 
 早雲は北条家が自ら言っている血筋のことを話した、本来は今川家の家臣であった伊勢家であったがそうした血筋だと言っているのだ。
「ならばな」
「関東の覇者になるのが道理ですな」
「左様、上杉家は関東管領であるが」
「その関東管領にも負けぬ」
「そうした家じゃ」
 その自称を言うのだった。
「既に鎌倉も領地に入れたしな」
「それならばですな」
「さらにじゃ」
「領地を拡げていきますな」
「そうしていくぞ」
「では」
「ただな」
 ここで早雲はこう言った。
「両上杉と戦うが」
「問題は後ろですな」
「今川殿は主筋であるが」
「当家が大きくなり過ぎたとですな」
「思われておる」
「だからですな」
「駿
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