第二百七十五話
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第二百七十五話 月の光を浴びて
カーミラは突きを見つつこうも言った。
「この光を浴びながらのお散歩を嫌いになったことはないわ」
「月こそご主人様の光」
「だからですね」
「この光は糧でもある」
「だからこそ」
「私は太陽の光も平気よ」
吸血鬼は日光に弱いという話があるがだ、少なくともカーミラは日差しでダメージを受けることはない。
「強い日差しは嫌いでも」
「それでもですね」
「日差しでどうにかなりませんね」
「左様ですね」
「ええ、けれどね」
それでもというのだ。
「やっぱり月明かりの方がね」
「いいですね」
「我々もです」
「この優しい光の何と素晴らしいことか」
「この下にいることが」
「これを嫌う理由がわからないわ」
月を見つつこうも言った。
「本当にね」
「左様でありますね」
「では、ですね」
「今宵はこのまま歩いていく」
「そうしていきますね」
「そうしていくわ、朝までね」
月がその姿を消すまでというのだ。
「歩いていくわよ」
「わかりました」
「そして朝になればですね」
「お屋敷に帰り」
「そうして休まれますね」
「朝食を食べてね」
そうしてというのだ。
「休むわ」
「わかりました」
「ではです」
「朝までお供します」
「この月の下で」
「お願いするわね」
カーミラは微笑み散策を続けた、そして。
月が白くなってきた空の中で輝きを消すと残念そうに述べた。
「ではね」
「月明りがなくなりました」
「ではですね」
「帰られますね」
「そうするわ。楽しい時間は終わったわ」
残念そうにこうも言ってだった。
使い魔達と共に自分の洋館に帰った、そうしてその洋館の中で使い魔が持って来る朝食を待つのだった。
第二百七十五話 完
2020・6・26
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