第18話 千堂の力 後編
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強力な電流が千堂の体内を駆け巡る。
片腕をソッとドーパント達に向けると静かに祈るように言い、そして叫んだ。
「全ては栄えあるショッカーと偉大なる大首領様の為に………喰らェ!!!」
その瞬間、千堂の片腕から丸太ほどの大きさの真っ白な電光が蛇のようにうねりながら打ち出された。
美しい閃光の花がドーパント達に直撃し、その過剰なまでの電気エネルギーのせいで周囲に強烈な爆風が起きる。
「グワァァァ!!」
「ギャアアア!!」
「じ、自由…バンザァァイ!!」
ドーパント達は強烈な高圧電流と衝撃に火花を散らしながら爆発を起こして変身が解除される。変身前の人間の姿となった彼らは気絶し、硬い地面に倒れ、メモリは体外にはじき出されて粉々に砕け散った。
「終わったな」
そうしてアングヴォルフは瞬時に変身を解除して人間態の千堂に戻った。
(さすが隊長。圧倒的なまでの強さだ俺なんか遠く及ばない)
加頭はそう思いながら死屍累々となった周囲を見渡す。全員、重症ではあるが死んではいない。
あの戦闘の中でも死なない程度に手加減をしていた。そしてそれをするだけの余裕が千堂にあったということが実践経験の少ない加頭にも分かった。ショッカー警察に引き渡すという思惑があったにせよ、数十人も殺さずに無力化するのは至難の業だ。
しかし当の隊長はそんなことを気に留めていない様子で
「レレイ、テュカ、ロウリィ、もう目を開けてもいいぞ」
と大声で言った。
思えば千堂隊長は常に誰かの為に行動していた。炎龍戦にしても、今回の戦いにしても誰かを救う為だけに力を使っている。
その気高い姿に加頭は心の中で感動した。そして自分がそのような人物の部下として働いていることに誇りを持つのだった。そして少しでもこの人に近づけたらと加頭は思わずにはいられなかった。
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レレイside
ドンという激しい打撃音やドォーーンという爆発音がしたと思ったら「もう目を開けてもいいぞ」というセンドウの声が聞こえて、私はゆっくりと目を開く。
視界が光を取り戻す。
しかし、センドウを見て背筋が凍るような感覚に見舞われた。
千堂の身体におびただしい血が付着していたからだ。
「ち、血が!!怪我してるんじゃ!?」
テュカが心配の余り、叫んだ。
「俺のじゃない。気にするな」
チラリと工場の片隅に目をやると先程の男達が重なるように倒れていた。
あれだけの人数をたった1人でやっつけたというの?
どれだけ強いの、センドウは?
そして私達の為に単身、助けに来てくれた。あの恐怖で動けなかったあの状況から。
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