第三十六話
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『東西直通リニアにお乗り下さり誠にありがとうございます。間もなく終点コガネぇコガネに到着します。お乗り口は左側です』
放送で車掌がそう言い、リニアはコガネ駅に到着した。
「あっという間だったね」
「まぁリニアですからね」
キクコの言葉に俺はそう言って改札口に向かい切符を駅員に渡す。
「このままコガネ総合病院に向かいます」
「あぁ構わんよ」
俺とキクコはコガネ総合病院に向かった。
――コガネ総合病院――
「おぉ、キクコか。久しぶりじゃな」
コガネ総合病院に着いた俺達は直ぐにヤナギの病室に向かうと、扉の前にオーキド博士がいた。
「ふん、相変わらずだね」
「ハッハッハ、最近は腰がキツくなってきたがな。それよりヤナギの病室は此処だ」
「分かった……」
そう言ってキクコは扉を叩いて病室に入る。
「ショウ君、急なお願いで済まなかったな」
「いえいえ、カントーに行けましたし」
オーキド博士は俺にそう言ってキクコに続いて病室に入った。
「お疲れショウ」
「母さん」
そこへ母さんが俺にコーヒーの缶を渡す。
「私達がしてやれるのはここまでよ」
「そうやな。そんじゃぁ帰るか」
「おぉ、ショウ君」
ん? 帰ろうとしたら病室からオーキド博士が出てきた。
「ヤナギがショウ君に一言御礼を言いたいらしい」
「俺に……ですか?」
「うむ」
オーキド博士は頷く。……まぁ行くか、俺は病室に入る。
病室にはキクコの他にも育て屋夫婦とガンテツがいた。
ベッドに横たわるヤナギは俺を見て微笑んだ。
「わざわざ済まないな」
「いや構いませんよ」
「君に御礼を言わないといけない。あの時、時空に呑まれようとした私を助けてくれてありがとう。おかげで私は懐かしい友の顔を見れる事が出来た。もう思い残す事は何もない」
「ヤナギ……」
ヤナギはそう言って身体を起こして俺に頭を下げた。
「ラ・プリス、ラ・プルスに会えてヒョウガを託せた。これ以上の喜びはない……ゴホッゴホッ」
ヤナギが咳き込む。押さえた右手から少量の血が垂れる。
「ヤナギッ!!」
育て屋のじいさんが駆け寄る。
「ショウ……本当にありがとう……」
「俺は何もしてない。ただ俺は全力を尽くしただけや」
「……そうか……」
俺の言葉にヤナギは笑う。そこへ看護師が来て今日の面会の終了を告げた。
そして数日後、ヤナギはオーキド博士達に見守られながら静かに永遠の眠りについた。
「……これで良かったんやろか……」
「ヤナギにとっては良かっ
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