第三幕その七
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「だからね」
「ミュージッカーさんにしても」
「ここに来てもね」
「不思議じゃないのね」
「そうだよ」
「言われてみると」
ドロシーも頷きました。
「そうね」
「それにこの村は音楽の村だから」
ジャックはこのことをお話しました。
「歌もよく歌うし演奏もね」
「よくするから」
「だからあの人も好きだろうし」
「それでここまで来たのね」
「カドリングの南からね」
そうしたのだろうというのです。
「あの人も」
「そうなのね」
「しかしね」
今度は木挽きの馬が言ってきました。
「ミュージッカーさんと会うのってね」
「久し振りね」
「うん、僕も随分と前に会ったけれど」
「私もよ」
「だから嬉しいね」
「久し振りに会えてね」
「本当にね」
こうしたお話をしている間にです、ミュージッカーは村に来ました。丸い髪の毛のない頭に派手な服、そして。
身体から明るい音楽が聴こえてきます、そうして歌でこう言うのでした。
「はじめて会った子達もいるね」
「僕達のことですね」
「そうだよ」
こうジョージにお話しました。
「君達のことだよ」
「やっぱり」
「他の人達には会ったことがあるけれどね」
「うん、僕はこの前会ったね」
臆病ライオンが言ってきました。
「グリンダのところに行った時に」
「カドリングの南まで来てね」
「会ったね」
「そうだったね」
ミュージッカーは音楽の中で言います。
「あの時は楽しかったね」
「一緒に歌ってね」
「じゃあ今度も一緒に歌おうね」
腹ペコタイガーもミュージッカーに言います。
「そうしようね」
「是非ね、色々な歌をね」
「そうしようね」
「あたしも歌うわ、そしてね」
最初にこの人を見付けたつぎはぎ娘も言います。
「踊るわ」
「君はいつも踊るね」
「だって踊るのが大好きだから」
それでというのです。
「踊るわ」
「そうだね」
「ええ、ここでお会い出来るとは思わなかったけれど」
「ふと気が向いてね」
それでとです、ミュージッカーはつぎはぎ娘の言葉に答えました。
「それでね」
「ここまで来たの」
「そうなんだ」
「それで来たんだ」
「そう、そしてね」
そのうえでというのです。
「歌うよ、これからね」
「そうするわね、貴方は」
「僕は歌うことが全てと言っていいからね」
「だからいつも演奏がかかっていて」
「そして歌うんだ」
「そうよね」
「こうして喋る時もね」
身体から出る明るい音楽に乗ってです。
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