暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第48話:3人寄れば姦しい
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彼女の前に居た颯人が思いっきり被る事になる。
顔面に奏の口から吐き出されたジュースを浴びた颯人は、無言で帽子からタオルを出しそれで顔を拭く。
一方の奏は顔を真っ赤にして咽ながら反論しようと口を開く。
「おま、な──!?」
「え? 違うんですか?」
「ち、違う! まだ答えてないし」
「そうそう、まだ答え貰ってないから付き合ってないよ」
奏に続き顔をタオルで拭きながら未来の言葉を否定する颯人。タオルで顔を覆っている為その顔色は窺えない。
しかし、未来は2人の言葉の中に含まれた”ある単語“を聞き逃さなかった。
「『まだ』……って事は、その内付き合うんですか?」
「んなっ!?」
「……そうなったら良いけどねぇ」
「ん゛っ!?」
未来の言葉に続けて放たれた颯人の言葉に奏は言葉を失う。堪らず目を瞑って天井を仰ぎ見る奏と、それを合図にしたかのようにタオルを取る颯人。タオルの下から現れた彼の顔は、特に赤くなることも無くいつも通りであった。
「あら〜、いいわね。ガールズトーク? 混ぜて混ぜて。私のコイバナ百物語聞いたら、夜眠れなくなるわよ〜?」
そこに姿を現した了子。彼女は薄ら聞こえてきた会話と顔を赤くして天井を意味も無く見ている奏の様子に、新しいおもちゃを見つけたと言わんばかりの笑みを浮かべながら近づいてきた。
「俺ガールじゃないよ〜」
「右に同じ」
「左に同じです」
「細かい事は気にしな〜いの!」
了子の言葉に軽く反論するもあっさり流されるこの場の男3人。全く相手にされない事に、颯人は残ったジュースを一気に飲み干した。
「りょ〜うこさんのコイバナ〜ッ! きっとうっとりメロメロオシャレで大人な銀座の物語〜ッ!」
そんな彼を放置して、了子の言葉に食い付く響。何だかんだで響も健全な女子高生、他人のコイバナやガールズトークには目が無いのだ。
当然彼女の話には未来も興味津々と言った様子だし、翼も満更無関心と言う訳ではない様子だった。唯一奏はそれどころではない様子だが、それでも気にならない訳では無いようで少しすると顔を扇ぎながら了子の話に耳を傾けた。
「そうね……遠い昔の話になるわねぇ……こ〜う見えて呆れちゃうくらい、一途なんだからぁ」
「「おお〜ッ!」」
しみじみと口にする了子に、声を上げる響と未来の2人。少女2人が目を輝かせるのだが、そこにこの男が水を差した。
「遠い昔……何だか年季を感じさせる言葉だな」
女性にとって禁句となる年齢に直結する言葉を口にする颯人。妙齢の女性である了子がそれに反応しない訳も無く。
女性の割には結構固く握られた拳が颯人に飛んだ。
「うぉっと危ないッ!?」
飛んできた拳を颯人はギリギリで回避。
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