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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第48話:3人寄れば姦しい
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な、颯人?」

 奏の言葉に颯人は口をへの字に曲げ、憮然とした表情で財布を取り出した。

「ったく、好きかって言いやがって。へいへい仰せのままに。響ちゃん、未来ちゃん、翼ちゃん。レディーファーストだ。好きなの最初に選びな」
「で、でも……」
「それじゃ、私は緑茶を」
「えぇっ!?」
「立花、小日向も。こういう時は素直に厚意に甘える方が礼儀ってものよ」

 翼の言葉に一応の納得を見せ、響と未来も若干申し訳なさそうにしながらも好きな飲み物の名をを口にする。その後に慎次と朔也。
 奏は一番最後だった。

「おい、レディーファーストはどうした?」
「奏は別枠。ほれ、お前もさっさと選べよ」
「ふ〜ん……ま、いいさ。そうだねぇ、アタシは……これ、レッ〇ブル」
「お前……一番高い奴を」
「ん? 何か文句でも?」

 颯人はぶつくさ文句を言いながら、奏の要望のジュースのボタンを押す。取り出し口に出てきた缶に手を伸ばそうとする颯人だったが、奏はそれに待ったを掛けた。

「待ちな颯人! 手ぇ上げな」
「ん……」

 奏に言われるがままに手を上げる颯人。
 これは奏にとって当然の警戒だった。このまま普通に颯人に取らせては、どんな仕掛けを施された偽物とすり替えられるか分かったものではない。だが流石に手を触れなければ、彼だって何も出来はしないだろう。

 あっさり引き下がる颯人に少しばかり怪しいものを感じながら、奏は取り出した缶の蓋を悠々と開けた。

 その瞬間、缶の上部が弾け紙吹雪と紙テープが散乱した。

「どわぁっ!?」
「ぷっ! わっはっはっはっはっ!!」

 ビックリ箱へとすり替えられていた缶に奏は仰天し、驚きのあまり尻餅をついた。その様を見て颯人は先程までと打って変わって愉快そうに笑う。

 驚かされたのは響達もだった。颯人は確かに奏用に買った缶には手を付けていない。一体いつの間にすり替えたのか?
 その答えに行き着いたのは慎次だった。

「ん? これは……」

彼は徐に取り出し口に手を突っ込むと、そこから一枚の布と蓋の開いていないレッ〇ブルの缶を取り出したのだ。それを見て奏は目玉が飛び出さんばかりに目を見開く。

「お、緒川さん……それ──!?」
「お、気付いた?」

 これが今し方の手品のタネだった。颯人は奏の性格から彼女が何を望むかを予想し、朔也の分を取り出すと同時にレッ〇ブルが出てくる取り出し口の所にカモフラージュ用の布を仕掛け、偽物の缶を入れておいたのだ。布は黒いので、よく観察しなければ上から見ただけでは分からない。
 奏は見事に引っ掛かってしまったのである。

「な、何でアタシがこれ欲しがるって分かったんだ?」
「お前の性格考えりゃ、ここで一番高い奴言うのは分かっ
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