暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン31 新世代の蕾、育むは水源
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4人もデュエリストがいるんだからな。子供の相手なんて10数年ぶりなんだ、たまには昔を思い出させてくれてもいいだろう」
「爺さん、アンタほんっと裏稼業向いてないよなあ。その顔で」
「顔も年も余計なお世話だ」
「お二方、よろしくお願いします!負けませんよ、ねっ、竹丸さん!」
「え、えぇ……う、うん、そうだね……」

 数分後。気楽に軽口を叩きあう大人2人のタッグとそれに対し元気いっぱいに胸を張る少女、そしてそんな3人とは対照的に遠目からでもわかるほどガチガチに緊張したもう1人の少女は、机や椅子を隅によせて無理矢理オフィス内に作りだされたスペースで向かい合っていた。

『タッグデュエルだ。タッグはいいぞ、必ず役に立つ時がくる』

 そんな言葉に乗せられて、あれよあれよという間に気づいたときにはこの状況。デュエリストという人種がいかにアグレッシブなのかを知らなかった、竹丸の迂闊であった。どこか隣に立つ親友が遠くの存在に見えてきた少女にそれにしても、と糸巻がふと顔を向けた。

「竹丸ちゃん、よくデュエリストになろうだなんて思ったな。いや、もちろん歓迎はするさ。ただアタシが言うのもなんだけど、これまでロクな目にあってなかったんだろ?」

 その言葉は身も蓋もないが、それでも真実ではある。竹丸のデュエルモンスターズとの関わりが始まったのはごく最近、それもファーストコンタクトは学校への不法侵入者からの人質というトラウマ待ったなしの役どころである。その言葉に、八卦も少し浮かれた気分を抑えて横目で親友の顔を見る。少女自身その点は気になっていたのだが、下手なことを言ってトラウマを刺激する可能性を恐れてなかなか聞き出せなかったのだ。
 しかし当の本人は意外なことに、その言葉に表情が曇るどころかむしろその顔を赤らめた。

「それは、その……確かに今も、本当はちょっと怖いんですけど。でもこのカードたちを持っていると怖くないと言いますか、むしろ勇気が湧いてきて……」
「ふーん?まあいいさ、よくわからんがその様子なら大丈夫そうだな。それと八卦ちゃん」
「はい、お姉様!」
「覚悟しなよ?初心者とのタッグだからって、アタシは一切遠慮しないぜ?」
「はい、お姉様!」
「大人気ないな」

 寸分の迷いなくいい返事をする少女とは逆に、子供の初心者相手だぞ?と目で諫めてくる本源氏。しかし糸巻は何を頓珍漢なこと言ってやがる、と言いたいのを、あえてぐっと飲みこんだ。竹丸の実力は未知数だが、少なくとも八卦はすでに元プロとも互角以上に渡り合うだけの力をつけてきている。初めて出会った時から糸巻ですら一目置かざるを得なかった天性のセンスとドロー運に、唯一足りなかった場数もこのところ急速にこなしている。すぐに本源氏も、子ども扱いして舐めてかかってはそのまま押し切られる
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