ターン31 新世代の蕾、育むは水源
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あの、これは……?』
『昔、僕の親友は1枚のカードをある人に貰って、こんなことを言われたらしいんだ。ラッキーカードだ、これが君の所に行きたがっている……そしてそいつはそのカードと一緒に戦い続けて、いろいろ辛いこともあっただろうけど、それでも最後には世界でも指折りの実力を持つヒーローになった。もしかしたら僕も同じことを、今まさに生まれようとしているデュエリストの背中を押すためにこの場所に来た……いや、この場所自体に引き寄せられたのかもね』
かすかに微笑んで昔を懐かしむような声に背中を押されるように、そっとそのカードをひっくり返す。
『グレイドル、カード……』
『光の結社とわーわーやってた時だから、もう6年ぐらいの付き合いだっけ?これまでありがとう、皆。今日からは、この新しいデュエリストの力になってあげて……それと、竹丸ちゃん。使い方とか動かし方の前に、まずこれだけは覚えておいて。デュエリストがカードを、そしてカードがデュエリストを互いに最後まで信じきることができれば、必ずデッキは応えてくれるってことを、ね』
『はい!ありがとうございます、ずっとずっと大事にします!』
そして、今である。せっかくだからとちょっとしたいたずら心が芽生え、この出来事については八卦にも黙っていた。目を丸くして驚いたその顔を見ていると、どうやらそんな努力も無駄ではなかったらしい。
「……魔法カード、モンスターゲートを発動。俺のフィールドからアノマロカリスをリリースしてデッキをめくり、最初に出た通常召喚可能なモンスターを特殊召喚する。1枚目、幻影騎士団シャドーベイル。2枚目、闇の誘惑。3枚目、置換融合。4枚目……沼地の魔神王。よってこれを場に出す」
沼地の魔神王 守1100
「そして、今墓地に送られた置換融合の効果を発動。墓地のこのカードを除外して同じく墓地の融合モンスター、ギルティギア・フリードをエクストラデッキに戻し、カードを1枚ドローする」
マスター・キー・ビートルとアノマロカリスの攻撃力には、ラギッドグローブによる増強込みで1100もの差が開いていた。ほぼ確定していたかに思われた敗北の盤面を首の皮1枚で変化させ、最後の抵抗とばかりにドローまで行う。この土壇場の異様な粘り強さ、どんな状況にあってもただ負けることなどなく、ぎりぎりまで制を次のターンに託すため戦い続ける力。これこそが、彼を長年「最終防衛団長」との二つ名をほしいままにさせてきた理由である。
そして引き抜かれた最後のドローカードを、表情ひとつ動かさず場に伏せる。
「カードを伏せ、ターンエンド」
誰も口にはしないが、たったひとつの明確な事実だけは初心者の竹丸ですら痛いほどに理解していた。次のターンで、全てが決まる。
「ありがとうございます竹丸さん、
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