第百四十八話 蝦夷へその三
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「多いわ」
「その数やな」
中里は難しい顔で述べた。
「一番の問題は」
「そうたい、この数にどう向かうかが問題とよ」
「それやな」
「二十倍の敵にどう向かうたい」
「正面から向かっても負けるわ」
絶対にとだ、中里は言い切った。
「二十倍の数にはな」
「幾ら装備の質が落ちていてもな」
幸田も言ってきた。
「数がそれだけ違うと駄目でい」
「その通りや」
「それこそ正面からぶつかったらな」
「二十倍の数に押し潰されるわ」
「そうなるのがオチだ」
「ほんまにな」
「そしてだ」
吉川も言ってきた。
「あちらは星の者は十五人だ」
「これまでの勢力より少ないな」
「しかし天の者が九人、尚且つだ」
「その九人全員が強者や」
「そこが問題だ」
「そや、千二百万の大軍に強い天の星のモンがや」
まさにとだ、芥川がここで口を開いた。
「同盟の最大の武器や」
「それにどう勝つかだな」
「それが今回の問題や」
まさにというのだ。
「ほんまにな」
「どうするかだな」
「そや、星のモンはこれまで通り全員に一騎打ちを挑むが」
「そのことだが」
吉川は難しい顔で言ってきた。
「私と太宰、そして海音寺はだ」
「一騎打ちは苦手やな」
「私達に小泉や江戸川の相手は出来ない」
愛を名字で呼んで言うのだった。
「到底な」
「それはわかってるわ、こっちもな」
「そうだな」
「それはな」
どうしてもというのだ。
「僕もわかってるつもりや、ここで一騎打ちに出るのは」
「誰だ」
「天の星では幸田、北原、坂口、室生、日毬ちゃんに美鈴ちゃんや」
「その六人か」
「自分達三人は軍の采配に向かってもらう」
そうしてもらうというのだ。
「特に吉川は今回暫く軍全体の采配もしてくれるか」
「水軍だけでなくか」
「暫くの間でもな」
「わかった」
吉川は確かな声で答えた。
「私が一番采配が出来るからか」
「やっぱり太宰と喜久子ちゃんは文官や」
芥川は二人のことも話した、彼等を見つつ。
「政はほんま凄いが」
「こと戦では、ですね」
「私達は」
「悪いけれどな」
本人に直接言うことはとだ、芥川はその太宰と喜久子に話した。
「やっぱりな」
「自覚しています、やはり私達は」
太宰が応えた。
「こと戦については」
「そやな、専門外やな」
「どうしても」
「ほんま政専門やな」
「戦については」
「采配苦手やろ」
「苦労しています」
実際にとだ、太宰は芥川に答えた。
「自分の隊を動かすにも」
「あと術を使ってもな」
「それもです」
自分が戦うことについてもというのだ。
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