第百二話 家臣にしたい者その七
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「水軍を固めていればな」
「海を渡れずですか」
「どうにもならぬわ」
「攻めて来ることもですか」
「だから安心せよ」
「あちらから来ることは」
「うむ、しかしな」
ここで元就はこうも言った。
「山中殿が大友家からの助けを諦めてな」
「そうしてですか」
「織田家にでも助けを求めれば」
その時はというと。
「厄介なことになるであろう」
「父上、織田殿は最早です」
隆景はこの家のことを言ってきた。
「四国の殆どもです」
「阿波、讃岐、土佐とな」
「領土にされました」
「三好家を完全に降し長曾我部家を組み入れてな」
「そうなりました」
「天下の国の三分の一程を領土にされるまでになられた」
「そしてその石高もです」
「七百二十万石にまでなられた」
「出せる兵も十八万はです」
それ位はというのだ。
「あります、しかも浅井家と徳川家も味方です」
「その織田家と対するとなるとな」
「当家も二百四十万石になりましたが」
「勝てぬな」
「どう考えましても」
「だからわしも揉める気はないと前から言っておる」
「勝てぬ相手だからこそ」
「そして揉める必要がこれといってない」
このこともあってというのだ。
「それでじゃ」
「織田家とは戦いませぬな」
「この考えは変わらぬ、だが織田家は数年は動かぬな」
「それは政があるからですな」
「織田家は急に領地を拡げた」
元就はこのことを指摘した。
「六十万石から一年か二年で七百二十万石じゃ」
「十倍以上になりましたな」
「その巨大な領地をどう治めるか」
「そのことを考えますと」
「織田家は数年は動かず」
そうしてというのだ。
「領地を治める」
「それに専念しますか」
「そしておそらく天下を治める土台も築く」
巨大になった領地を治めると共にというのだ。
「そのこともあるからな」
「だからですな」
「織田家は暫く動かぬ」
「数年のうちは」
「そうなる、間違いなくな」
三人の息子達に話した。
「だからな」
「それで、ですな」
「我等はですな」
「その数年の領地を治めますか」
「我等もな、ただ山中殿が大友家から因幡にかろうじて残っている山名殿でも頼り」
そうしてというのだ。
「我等と戦うやも知れぬがな」
「山名殿も織田家に従いましたが」
「それでも結構自由に動いております」
「因幡に二十万石程の領地も持っておられますな」
「その山名家を頼ってな」
そのうえでというのだ。
「我等に向かって来るやも知れぬな」
「その場合は、ですか」
「我等も戦う」
「そうしますな」
「出雲は我等の国となった」
山中が絶対の忠義を尽くす尼子家の本国であるこの国はというのだ、元就は息子達にこのことを強い声で話
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