第三幕その六
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「このままで踊るわ」
「そうするんだ」
「ええ、お姫様の役で出るわよ」
「役は決まってるんだ」
「さっきじゃんけんをしてね」
「それで決まったんだね」
「そうなのよ」
これがというのです。
「見事主役にね」
「それはよかったね」
「どんな役でもいいわ」
つぎはぎ娘としてはです。
「踊れたら」
「じゃあミュージカルのバックダンサーも」
「よくしてるわ」
ジョージに笑顔で答えます。
「そちらも」
「そうなんだね」
「もうミュージカルはね」
それこそとです、つぎはぎ娘はジョージに楽しいお顔でお話します。
「どれだけ出演したかわからないわ」
「そこまで好きなんだ」
「歌劇も出るし」
こちらもというのです。
「こっちは役よりもバレエでね」
「出るんだね」
「アイーダとか大好きよ」
この歌劇もというのです。
「本当に」
「アイーダっていうと」
「あっ、知らないの」
「うん、歌劇はまだね」
ジョージは首を傾げさせつつ答えました。
「あまり観ていないから」
「そうなの」
「うん、けれど君はなんだ」
「色々な歌劇を観てね」
「出演もしているんだ」
「そうなのよ」
こう言うのでした。
「それで楽しんでいるわ」
「そうなんだね」
「それで踊ってるのよ」
「第一はやっぱり踊りだね」
「そうよ、じゃあバレエに出て来るわね」
その白鳥の湖にというのです。
「そうしてくるわ」
「ええ、それじゃあね」
こうお話してです、そのうえで。
つぎはぎ娘は実際に白鳥の湖に出演してお姫様の役を楽しくしかも上手に踊りました、そしてその後で今度はです。
ジョージとお話していたミュージカルも出ました、ですが。
その後で、です。つぎはぎ娘は村の向こう側を見て言いました。
「お客さんが来るわ」
「本当に目がいいね」
トトはそのつぎはぎ娘に言いました。
「僕には全然見えないよ」
「あたしには見えるから」
「その目が凄いよ」
「このボタンの目は特別だから」
それでというのです。
「視力は五・〇だからね」
「そうなんだね、それで誰が来てるのかな」
「ミュージッカーさんよ」
この人だというのです。
「あの人が来てるわ」
「えっ、あの人達が来るとか」
ドロシーはそう聞いて意外といったお顔になって言いました。
「予想していなかったわ」
「いつもカドリングの南にいるからね」
樵はそのことを言いました。
「このウィンキーに来ることはね」
「ちょっとね」
「珍しいね」
「そうよね」
「うん、ただオズの国の人はよく旅をするから」
それでとです、かかしは言いました。
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