第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第61話 神の依代と幸運の女神:後編
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幸運の女神、フォルトゥーナ・シグザールと戦う事になった依姫。
のらりくらりと攻撃をかわすフォルであったが、依姫は機転を利かせて炎雷神の炎の八つ首を一斉に襲わせる戦法を取り、彼女を猛火の渦に飲み込む事に成功したのだった。
そして、その猛火も収まり視界が晴れていったのだ。
「……!?」
依姫は思わず息を飲んでしまった。
何故なら、そこにはフォルが倒れる事なく立っていたからである。
勿論、ただ立っていて無事でいられる攻撃ではなかった。故に彼女は対策をしていたのだ。
それは、ボクシングでは戦いを続ける上で必要不可欠となる要といえる行為であった。
『腕でのガード』
それがフォルが取っていた対処であった。
理にかなった行為である。だが、当然今の依姫の攻めを受け切った事を説明するには事足りないものであるのだ。
「腕のガードだけで炎雷神の一斉攻撃を受け切るとはね……」
それにはさすがの依姫も額に脂汗を垂らして呟くしかなかった。
それが問題なのであった。先ほどの天変地異のような猛攻を、格闘技と同じ要領でいなしてしまう事が異常事態なのであった。
「ですが、腕がやけどしてしまいましたわ〜……」
そうフォルの示す両腕は、折角の彫刻のように美しい白い肌が醜く赤く焼けただれてしまっていたのだ。
だが、そんなフォルに対して依姫は冷静に対処した。
「それも、フォル様にとっては大した問題ではないのでしょう」
「あ、バレました?」
依姫に指摘されて、フォルはしれっと返すのだった。やはりこの女神は底が知れない。
そして、フォルは次の行動を取る。彼女は両手を広げたかと思うと、痛んだ腕の部分が目映く輝き始めたのだ。
その様子を依姫は唾を飲みながら見守る。嫌な予感しかしないが、今は見ているしかない。
その後、輝きは収まった。その後で依姫は呟いた。
「やっぱり、こうなりますよね」
その言葉を掛けられたフォルの両手は、綺麗さっぱりやけどの跡がなくなり、元の白き芸術作品へと返り咲いていたのだった。
「私の神力を使えば、造作もない事ですよ」
得意気に返すフォルであったが、依姫は『それ』を見逃しはしなかった。
「でも、体力は消費しているのは隠せませんよ?」
「やっぱり分かりますか?」
余裕の感じる台詞で返すフォルであったが、依姫の指摘通り、その体には汗が滲み息は上がっていたのだった。
つまり、神とて無限のエネルギーを有している訳ではないのだ。彼女も例外ではなく、この戦いで疲弊しているのだった。
(……)
それでも、依姫の心には余裕は無かったのだ。多少押している、それだけで女神フォルに対して優位に立てている訳にはならないのだから。
故に、依姫はまた次の手を打つ事にするのだった。
「フォル様、やはり貴方
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