第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第61話 神の依代と幸運の女神:後編
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に、その逆もまた然りなのであった。
フォルが疲弊している今こそ、依姫が攻める好機だと思われよう。しかし、彼女もまた時間を要する状況にあったのだ。
(『剣の岩戸開き』……気安く使えるものではありませんね)
そう依姫は自分の考案した戦法を思い返しているのだった。
このスペルは強力な分、連続で出せるものではなかったのだ。増してや、二柱の神々を降ろすスペルを発動している所に更に上乗せでの発動、これはさすがの依姫でも骨の折れる芸当なのであった。
そうして暫く両者は互いに睨み合っていたのだった。片方は自らの神力で体力を回復すべく、もう片方は浪費した神の力を再びその身に備え付けるために。
そうして暫くしている間に、両者とも準備は整ったようだ。
「では始めましょうか」
まず、依姫がそう言った。
「ええ、仕切り直しですね」
それにフォルが返すのであった。
二人はそう言い合った後、再び向かい合った。そして、再度両者に緊張が走る。
ごくっ。その二人の様子を見て、思わず勇美は固唾を飲んでしまった。そして彼女は思った──恐らく次で勝負は決まる、と。
勇美がそう思っていると、勝負が再開されたようである。最初に仕掛けたのは……フォルであった。
「!」
意外な展開に勇美は驚いてしまった。何故ならこの勝負では決まって依姫から手を出していたからである。フォルの方は神らしく堂々と落ち着いて構えていたものだ。
それが今はフォルから自ら仕掛け始めたのだ。──勝負に出たのか。勇美は目の前の二人と比べたらちっぽけな存在なりにそう考えを巡らせたのだった。
居合いの要領で振り抜かれたフォルの手刀。それに依姫は手持ちの刀を合わせて迎え打った。
刹那、肉と骨の刀と鋼の刀がぶつかり合った。そして、片方は肉体の一部だというのに双方から火花が激しく舞ったのである。
甲高い耳障りな金属音が辺りに響き渡った。それだけで今の衝撃が凄まじかった事が伺えるというものだ。
「見事です、私から仕掛けたのに、咄嗟にそれに対応しますとはね」
攻撃を防がれたのに、フォルは嬉しそうである。相手の健闘に悦びを感じてしまうという、女神にあるまじく血が騒ぐ状態にあるのであった。
「ええ、私は神霊使いであると同時に剣士でもありますからね」
対して、依姫も軽口で返しながら興が乗っていたのだった。
今まで彼女が幻想郷で戦った者達も皆素晴らしいものを持っていた。
だが、ここまで接戦となり熱くなったのは初めてであったのだ。今までにない高ぶりに快感すら依姫は感じていたのである。
だから、最後まで抜かりなく戦い抜く。依姫はそう心に決めたのであった。
その想いを胸に依姫は再びフォルと打ち合う。またしても激しい金属音が鳴り響き続けたのである。
このまま両者の力が均
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