第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第61話 神の依代と幸運の女神:後編
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だと思うのだった。
仮にも自分は女神を名乗っているのだ。だから動じずに堂々と構えていればいいのだ。
フォルが想いを巡らせている間に、依姫の準備は整ったようだ。彼女は元々赤系の色の瞳を更に赤く輝かせてフォルを鋭く見据えた。
次の瞬間、依姫は間髪入れずにフォルに斬り掛かっていたのだった。それに間一髪で手刀を合わせて迎え打ったフォル。
ふぅ……、と一息つこうとしたフォルであったが、それを依姫は許さなかったのだ。
第一撃が防がれると、その一瞬の時間をも惜しむような勢いで第二波が繰り出されたのだった。これもフォルは手刀で受け止める。
「くっ……」
だが今までの温和な振る舞いを崩し、あからさまに苦悶の表情を浮かべるフォル。そんな彼女に、依姫は躊躇する事なく更に次の攻撃を加えた。
それもフォルは受け止める。しかし、先程やけどを回復する為に神力を使った事を合わせて、彼女の体力は疲弊していったのだ。
それに加えて依姫は祗園様により膂力、天宇受売命により身のこなしを授かっているのだ。つまり今の彼女は『剛』と『柔』が兼ね備わっていたのだ。
つまり、疲弊したフォルと隙のない戦闘理論を備えた依姫。──分は明らかに後者にあったのだ。
「はあっ!」
続く攻防の最中、依姫は掛け声を出し気合いと共に渾身の一撃を放ったのだ。
「っ!」
その一撃によりフォルの手刀は弾かれて、彼女を守る役割を放棄させられてしまったのだ。一瞬だがガードが空き、無防備になってしまうフォル。
その一瞬を逃す依姫ではなかった。彼女の眼光が一際鋭く光ると、すかさずスペルを宣言したのだ。
「【開闢「剣の岩戸開き」】っ!!」
奇しくも祗園様と天宇受売命は天照大神が岩戸隠れの原因を作った者と、それを解決する手立てを作った者であった。
その二柱が協力して新たな技を生み出す。神話の時代には想像出来なかった事であろう。
そして、依姫の刀は瞬時に神力を纏い、目映く輝きを見せたのだ。それをフォル目掛けて躊躇う事なく振り翳す。
それは見事にフォルを捉えたのだ。彼女に斬撃と共に神力の爆ぜが襲い掛かったのだった。
「……っ!!」
声に出す事も出来ずに、フォルはその衝撃に身を弾き飛ばされた。立った体勢を保ちつつも、後ろに押されたのだ。
これだけの一撃を受けても倒れる事が無かったのは、さすがは女神という訳だろう。
「はあ……はあ……」
だが、彼女の受けたダメージは否定出来るものではなかったのだ。フォルは痛みと疲れに耐えながら息を荒げているのだった。
「参りましたね……」
ぼやくように呟くフォル。だが依姫はその様子を油断なく見ていたのだ。
何故なら、フォルの瞳に宿った輝きは決して潰える事なく灯り続けていたからである。
フォルが依姫に油断していないよう
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