第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第61話 神の依代と幸運の女神:後編
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に小細工は通用しませんね」
依姫はそう呟いた。自分に言い聞かせる意味でも。
そんな依姫に対して、フォルはにっこりと微笑みながら言う。
「ええ、その通りですよ。
私があなたが仕える側の存在だからって遠慮する事はありませんよ。
どうぞあなたの持てる力の全てで立ち向かって来て下さい」
さすがは女神の言う事は違った。その言葉は抱擁力に包まれているのだった。
依姫であってもフォルのその言葉には心地好さを感じるのだ。そして、胸の内に何かが綺麗にストンと落ちるかのような充実感までも覚えたのだった。
(フォル様、有り難うございます……)
そして、心の中でその慈愛の女神への感謝の言葉を述べたのだ。
ここに依姫の迷いは晴れた。後は彼女なりの力の限りをフォルへと見せるだけである。
(……)
その為に降ろすべき神々はここに決まったようだ。依姫は刀を天に掲げ、それらの名を口にする。
「『祗園様』に『天宇受売命』よ、この者との戦いの最後の締めの為にその身を我に与えたまえ!」
そう、依姫が言った通り、この試みにより勝負は決まるだろう。その想いを胸に彼女は『力』と『舞い』の神々をその身に降ろすのだった。
依姫に取り込まれる祗園様と天宇受売命。それにより依姫は神々しいオーラをその身から醸し出す。
続いて依姫はその力の名を宣言する。
「【武符「神剣の舞い」】……」
言い切った依姫の表情は清々しく澄み渡っていた。これで持てる力を出し切れば悔いはないというものである。
「いざ……」
言うと依姫は地を脚で蹴り、その距離をフォルへと縮めた。
「はあっ!」
そして、掛け声と共に依姫は居合いの要領で刀を振り抜いたのだ。
その太刀筋はまごう事なくフォルへと向かっていった。しかし。
「いい刀捌きですね」
そう言いながらもフォルは軽々とその刀に動きを合わせるのだった。更に驚くべき事は。
「うそ……。手刀で刀を受け止めた……?」
その勇美の言葉通りであった。刀の真似をしただけの肉と骨の構成物が、金属を鍛練して研ぎ澄ました本物の刀を受け止めてしまったのだから。
渾身の一撃を冗談のように受け止められてしまった依姫。だが、彼女に焦りの様子は見られなかったのだった。
「さすがはフォル様です。そのような芸当を軽々やってのけて見せるとは。
ですが、今の私とて、伊達に祗園様と天宇受売命を降ろしてはいませんよ。
その事をこれからお見せしましょう」
そう依姫は言うと、一先ず攻撃を防いだフォルから距離を取った。
そして彼女は呼吸を整え、精神統一を始めたのだ。それにより依姫の周りに流れるオーラの質が変わり始めた。
(何をするつもりかしら?)
そうフォルは考る。しかし、彼女は相手がどう出ようと自分も持てる力を出し切るだけ
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