第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第60話 神の依代と幸運の女神:前編
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のの、短い着物の裾を押さえてもじもじしている少女の姿があったのだ。──要は『不安的中』である。
「勇美、くれぐれもフォル様を『オカズ』に使う事のないようにね♪」
依姫はいつにない、とびっきりの笑顔で勇美にそう言った。
「あうう〜……」
その宣告を聞いて、勇美は餌のおあずけを喰らった犬のような恨めしい表情で依姫に視線を送り続けるのだった。
「さて……」
そんな勇美はさて置いて、依姫は再び戦いに意識を向ける。当の勇美にとってはこれから別の意味での戦いになるだろうけれど。
「それでは戦いの続きを始めましょうか」
「ええ、スカートも短くなって戦いやすくなりましたしね」
そう言ってぴょんぴょんと軽く跳び跳ねる動作を見せるフォル。
「フォル様、これ以上勇美を刺激しないように」
「ええ、善処します♪」
そう言うとフォルは漸く悪ノリを自重してくれるのだった。
改めて向かい合う二人。そこには再び緊張が走る。
その二人の様子を見ながら勇美は思っていた。──この二人、戦い方が似ているなと。
依姫は基本的に相手の攻撃を攻略する形で神降ろしを行い、刀は補助的な意味合いで使用する。
対してフォルは手だけで戦い、スペルカードは相手の攻撃をかわす為だけに使う。
正反対な戦法でありながら、似ている。そういう何とも奇妙な取り合わせ。それが偶然にもこの場に揃ったのだった。
だからこそ、勇美はこの勝負の行方は目に焼き付けなければいけないと思うのだった。例えどちらが勝っても、自分の糧になるだろうと。
ちなみにオカズの件は諦めた。生で使いたい気持ちは強いが、フォル程の存在なら夜に使っても効果覿面だろうから。
そんな想いを馳せながら、勇美は改めて向き合う両者に視線を向け直したのだった。
しばらく向き合っていた二人であったが、先に口を開いたのは依姫であった。
「ですが、さすがですフォル様。今の私の新作スペルには自信があったのですよ」
「それはお気の毒な事をしてしまったようですね」
本気で少し申し訳なさそうにフォルは依姫に謝ってみせた。そんな所がフォルの奥ゆかしさを生み出している所以であるのだ。
だが、依姫はこう返すのだった。
「いいえ、お気になさらずに。──私が次の手を打てばいいだけの事ですから♪」
「それは頼もしい限りですね」
得意気にのたまう依姫に、フォルの方もほんわかとした態度を保ちつつも強気の姿勢をみせる。
──両者とも意気込みは十分なようだ。
そして、依姫は次なる行動に移るのだ。
「『火雷神』よ!」
その神の名を依姫は呼ぶのだった。基本的に『柔』を得意とする依姫が『剛』に徹する手段に打ってつけな神の名を。
依姫の呼び掛けに応える形で、彼女の背後には膨大なエネルギーが生み出される。
その
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