第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第60話 神の依代と幸運の女神:前編
[4/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
えを繰り返していた。
それが一頻り続くと思われたが、異変は起こった。ほぼ無差別に辺りから噴き出していた火柱が突如として規律が生まれたかのように現れ始めたのだ。
そして、連携を用いて襲いかかる肉食獣の如く一斉にフォルへと向かっていったのだった。
瞬く間にフォルは火柱の群れに包まれ、爆発が巻き起こったのである。
「やった……?」
この猛攻を受ければフォルとてひとたまりもないだろう。勇美は依姫の好転に胸を弾ませる思いとなっていた。
だが、その状況下で声が聞こえて来たのだ。
「【幸運「清き流れの龍脈」】……」
それと同時に爆発の中から何かが噴き出してきたのだった。
「何?」
一体何だろうと思い、訝りながら勇美は目を凝らすと、その正体が解るのだった。
それは激しく流れる水流であった。そして大きな龍の姿をしていたのだった。
言わずもがな、その分厚い水の塊により、火柱により巻き起こされた爆発はものの見事に鎮圧されてしまっていたのである。
「すごい……」
勇美は思わず、自分が応援する者の敵の奮闘であるに関わらず、称賛の言葉を送ってしまった。それだけ今の光景は目を引くものがあったからだ。
「でも……」
それでも勇美は腑に落ちない様子で呟いた。その様子を見ていたフォルはそんな勇美の心境を読み取り、代弁するかのように説明をし始めた。
「そうですね、『こんな水の龍をどうやって呼び出したか?』ですよね。
いいでしょう、お話しますわ」
そう言ってフォルは柔らかい笑みを携えながら続ける。
「これは竹林の地下に流れる水脈の水です。それを利用させて頂きました」
フォルは聞き入る勇美を目に入れながら、更に説明をしていく。
「そこで、どうやって水脈の水を呼び出したか……という疑問が生まれますよね。
それは、私の神気で地面を突いて地下水脈まで届かせたまでです。
後はその水を龍の形に練った訳ですよ」
さらりとフォルがそう言ったが、それは並大抵の事ではないのである。地下に隠された水脈を探り当てる集中力に、何よりそこまで届かせる程の神気を練るという芸当は生半可な実力では出来ないのだから。
「ちょっと手間でしたけど、お陰で間一髪でしたよ」
余裕に見えるフォルだったが、危ない所であったようだ。
だが、それでも余力が有り余っているのが今のフォルであるのだ。
しかし、依姫は口角を上げながらフォルに指摘した。
「ですが……『完全にかわし切った』訳ではないみたいですね?」
「?」
そう言われてフォルは何の事を言っているのだろうと思った。自分には攻撃を受けた感触はないのだから。
思いながらも何気なくフォルは自分の身の回りを確かめた。
「!!」
その瞬間、フォルは認識したのだった。
──彼女の印象を強
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ