第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第60話 神の依代と幸運の女神:前編
[3/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
な子供騙しは、目の前の相手には通用しないだろう。そう依姫は思いながらこの二柱の神の別の扱い方を見せる。
依姫は刀に炎を纏ったまま、それを地面に突き立てたのだった。
その動作だけなら相手の行動を封じる祗園様の発動のためそのものである。──無論、それだけではフォルに通用しはしないだろう。
だから、依姫はその祗園様の力に愛宕様の力を加えたのだ。続けて彼女はそのスペルの名を宣言する。
「【火柱「メガボルケーノ」】!!」
その後、地面に突き立てられた刀から、神の炎のエネルギーがみるみるうちにそこに注がれでいったのだった。
次の瞬間、それは起こった。依姫の前方の足元から炎の柱が噴き上がったのだ。
「すごい……」
思わず勇美は息を飲むが、それは些か早とちりというものになるのだった。
その理由は……。
「え、うそ……!?」
勇美が更に驚いた原因。それは上がった火柱が一つだけではなかったからである。
一つ上がったと思ったらまた一つ、そしてそれが終わる前にまた一つ。そうしてまるでドミノ倒しのように火柱が次々に精製されていったのだ。
そして、勿論その進路にはフォルがいたのだった。
「……っ!」
思わず息を飲んでしまうフォル。だが、彼女はそれだけで落ち着いて対処してしまう。
「これは凄い攻撃ですね」
そうまったりと呟くと、別段取り乱す事もなくその火柱の前進を最低限の動作でかわしてしまったのだ。
標的を失った火柱の群れは竹林の壁にぶつかる前に消滅してしまった。
これは神の力による為である。神の意思が働いているが故に、自然破壊をしでかしてしまう前に自らその力を弱めたのだった。
その様子を見ながらフォルは感心して呟いた。
「まあ、素敵ですわ。これだけの攻撃を仕掛けて来ながら、自然の事まで気を掛けていらっしゃるのですね」
「ええ、そうですよ。神の力を借りる者として、その力に溺れて制御を怠るなんて事になるのは言語道断ですから」
そう返す依姫であったが、彼女が言葉を放つ口の角は上がっていた。
「!?」
その様子に気付いたフォルは、警戒体制に入る。
「さすがは女神様ですね、察しが良いです。──でも、ほんの少し遅かったみたいですね♪」
「なっ……?」
そうフォルが声を上げた際には、時既に遅しなのであった。
──辺りには噴き出しては消える火柱が次々に出現していたのだった。しかも今度は依姫からの直線上ではなく、この戦場の至る所に余す事なく吹き荒れていた。
それでいて勇美の元には一つも出現していないのは、依姫の器用さと律儀さの賜物と言えよう。
(何て几帳面。やっぱり依姫さんは凄いですね……)
ただただ勇美は自分の師の配慮に感心するのだった。
勇美がそう感慨に耽っている間にも、無数の火柱が出ては消
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ