第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第59話 新たなる挑戦者
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それは余程の異常事態である事を物語っていた。
彼女は堪らずにその存在に呼び掛けた。彼女にしては軽はずみな行動に出させる程にその存在は掴み所が無かったのである。
「そこにいるのは誰ですか、姿を見せなさい」
静まり帰った竹林のホールに依姫の声がよく通った。
その音を自然の設備は余す事なく飲み込んでいった。それで事が終わるかにすら思われたが、実際はそうはならなかったようだ。
「客人よ、これは失礼しました」
そう竹林の奥から声が聞こえたのである。
「……!?」
その声を聞いて依姫は更に身構えた。
そして、その声の主は竹林の中から現れたのだった。
その姿を見て、勇美は思わず呟いた。
「綺麗……」
何の飾り気のない言葉であるが、それ以上に姿を現した者を形容するに相応しいものは無かったのだった。
その者はまず、てゐのようにウェーブがかった黒髪を携えていた。しかし、その髪を腰元まで伸ばしたロングヘアーにしていた為に印象は大きく違っていた。
艶やかで織物のよう。そう比喩するに値する、神掛かっているといっていい一品であった。それだけでもその者を魅力的に彩っているといえるだろう。
だが、その者の魅力はそれだけに留まらなかった。簡潔に言うと『女性的な美しさの推移を集めた』とでもなるだろう。
まず顔立ちは女神のそれのイメージをそのまま張り付けたような端正なものであった。彼女と視線を合わせれば眩しさが目に焼き付き、その唇に口付けされようものならば体が蕩けさせられるような幻惑に襲われてしまいそうであった。
首から下は、豊満でいて引き締まった胸肉、彫刻のようにくびれたウェスト、出過ぎてはいないがこれまた肉付きの良い尻肉と三点揃っていたのだった。
おまけにその肌はガラス細工のように透き通った逸品であったのだ。美術品ならケースに入れられて厳重に保管されるだろう代物であった。
そして、出で立ちは白い絹のような、ロングスカートのワンピース状の物を纏っていたのだ。古代ギリシャの文献で見られるような物を想像してもらえればいいだろう。
故に、ロングスカートのワンピース状ではあるが、上半身の露出度はかなり高いものであったのだ。袖はなく更に生地が前方にしかなく、背中が丸出しなのである。その事が彼女の豊満な胸をより強調しているのだった。
それとうって変わって下半身はその主張は控えめであった。しかし、裸足に編み目状のサンダルを身に付けている為、彼女の美しい踝が密かに強調され、こちらも上半身とはまた違う魅惑を醸し出していたのだった。
幾ら魅力的な服を着てもその人を彩るには当人のものによる限界があるというものである。
だが、彼女の場合は違っていた。言うなれば、衣装が彼女に従っていると表現しても良い位なのだった。
絶世の美女……そ
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