第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第59話 新たなる挑戦者
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か小生意気なてゐから自分に労いの言葉を掛けられるとは思っていなかったからである。
「何もそこまで驚く事ないじゃん……」
「あ、ごめんてゐちゃん。あなたにそんな事言われると、てっきり悪徳商法か何かだと思っちゃって……」
失敬な、てゐは思った。いくら自分が『う詐欺さん』と呼ばれる事があるからといっても、それは偏見が過ぎるのではと。
だが、彼女は烏龍茶に免じる意味でも気を取り直す。この飲み物は健康に気を遣う自分にとっても有難い代物なのだから。
それに……勇美には大切な用事があるのだ。悪気がないにしろ多少失礼な事を言われたからといって、それを取り止める理由には全くならないのである。
そう、メキメキ成長している今の勇美には『見せられる』事であると同時に『見せなければいけない』事でもあるのだ。
その為の切符を与える為に、てゐは口を開いた。
「──勇美と依姫って、今日時間取れるウサ?」
◇ ◇ ◇
そして、時は昼の四時を回った所であった。小腹も程好く空き始め、日の照りも収まり始めている時間帯。つまり程好い心地好さに見舞われる時である。
そんな最中は勇美は依姫と共に迷いの竹林の中で歩を進めていた。
その途中で依姫は口を開いた。
「一体私達に何の用なのかしら?」
「さあ? てゐちゃんの考える事は私には想像つきませんよ?」
「碌でもない事でなければよいのだけれど……」
依姫はかつててゐの落とし穴にはめられた事を思い返しながら呟いた。そんな仕様もない事態には決してないたくないものであるのだ。
そんな話をしつつ、二人はてゐに教えられた場所まで足を進めるのだった。
◇ ◇ ◇
「ここがてゐちゃんが言っていた場所ですね」
「そのようね」
言い合う勇美と依姫。
そして二人が今いる場所は鬱蒼と茂っている迷いの竹林の中とは思えないような、実に開けた場所であったのだ。
陽の光は限りなく降り注ぎ、空気はカラッと澄んでいて心が洗われるようである。
まるで、ここは『自然のホール』とでもいうべき五感を刺激する神秘的な空間なのであった。
「まさか、竹林の中にこんな所があったなんて驚きです♪」
思わずはしゃぐ勇美。やはり彼女も年頃の少女という事だろう。素敵な光景には心踊るものである。最もここの場合は大人でも感動に値する程の芸術性の高さであるが。
(……)
対して依姫は落ち着いていた。だが決してこの場に感じるものがなかった訳ではない。
寧ろ、思う所が多すぎるのである。外界の常識が通用しない幻想郷と言えども、今まで誰も足を踏み入れた痕跡がない等という事など有り得るだろうか。
おまけに、この近くに得体の知れない気配を放つ者が存在しているのだ。
依姫でさえも底の知れなさを感じる程の気配なのである。
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