第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第59話 新たなる挑戦者
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《ハンドレッド》以上生み出された光景であった。
「くぅっ……」
その思いもよらなかった猛攻に、依姫は見事に飲まれてしまったのだった。
そして、一頻り猛攻を貰ってしまった依姫。背後からの攻撃であった為に、得意の刀捌きによるガードも間に合わなかったのだった。
この会心撃に、計らずとも依姫は地に膝を付いてしまったのである。
「やっ……た?」
依姫を追い詰めた事に歓喜と共に唾を飲み込む勇美。もしかして彼女を出し抜く事が出来たのであろうか?
依姫は暫くうつむいていて、その表情を読み知る事は出来なかった。だが、彼女がその顔を再び上げた時──彼女の口角は歪に上がっていたのだった。
「【番龍「やまたのドラゴン」】……」
相手の隙を付いて紡がれたその依姫の宣言後、一瞬にして勇美と咲夜は炎の竜巻に飲み込まれてしまった。それに二人は悲鳴を上げる暇もなく翻弄されたのだ。
◇ ◇ ◇
「うう……」
「参りましたわ……」
荒れ狂う炎に飲み込まれ、ぷすぷすと煙を上げながら勇美と咲夜は放心状態で呟いていた。
折角依姫を出し抜いて追い詰めたと思われたのだが、彼女は先手を打たれてなお機転を効かせて形勢逆転してしまったのだから。
「私達、まだまだ修行が必要ですわね……」
「全く、同感ですよ……」
咲夜にそう言われて、勇美も共感の意を示した。
(……)
そんな二人のやり取りを見据えながら、依姫は『それは違うわね』と思っているのだった。
まず、咲夜は依姫と善戦し、彼女を手こずらせる実力があるのだ。
だが彼女が修行が必要だと思わせるに至った相手が悪すぎるのだ。フランドールという、幻想郷でも高い実力を持ち、かつその力を制御出来てない者を止めるには並大抵の能力では力及ばずとなるのだ。
だから、咲夜には自分を力不足だと責める必要はないと依姫は彼女に声を掛けたいのが本心であるのだ。
だが、それを直接本人に言おうものなら、彼女の自尊心を傷付けてしまいかねない。
故に、この問題は咲夜自身が解決しなければいけないと依姫は考えるのであった。
(後は……)
次に依姫が思考を巡らせたのは、勇美の事であった。
彼女の成長はますます目覚ましくなっているのである。
最近では依姫と同じ方針を持って戦うという、彼女を師に持つ勇美にとってやり合いづらい相手にも勝利したのだから。
だが、まだ自惚れではなく、自分自身の方が上だというのが依姫の判断であった。八意様の教えを受け、自分自信奮闘努力してきたのだ。それをそう簡単に越えられてはいけない。そう依姫にも自尊心があるのだった。
そんな思いを馳せつつ、依姫は二人に労いの声を掛けた。
「よく頑張りました、二人とも。今日の修行はここまでです」
◇ ◇ ◇
今日の一大イベ
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