第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第58話 秘策:後編
[6/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
のバッタの一匹に狙いを定めて……意を決したかのように引き金を引いたのだった。
銃口から発射された星の弾丸はまごう事なくそのバッタへと命中したのだった。だが、この状況で跳流の肉体の僅か一部を倒しただけでは事態は良好には進まないだろう。
だが、勇美……いや、勇美『達』の狙いは他にあったのだった。
星の弾丸を受けた一匹は、エネルギーを溜めていたのだ。故に勇美に射抜かれた衝撃によりそのエネルギーに『火が付く』形となり、爆発を生み出したのであった。
それは一つの爆発に留まらないかったのだ。一つの爆発が他のバッタが溜めたエネルギーに跳び移り、更なる爆発を生むのだった。
それが更に他のバッタに跳び移り……それを繰り返していった──つまりは『誘爆』であった。
爆発の連鎖に飲み込まれた跳流の群れは鮮やかはエネルギーの彩りを空に次々と生み出し、非常に芸術的であった。それはまるで跳流の潔さを目に見える形にしたのかと思える程なのだった。
だが、勇美は素直にその美しさに酔い知れる事は出来なかったのである。無理もないだろう、これは跳流が自らの体を張って事態の終息を望んだが故の産物なのだから。
「跳流さん……」
だから、勇美は手を握り締めて事の成り行きを見守る事しか出来ないのであった。
やがて、極みを見せた『空の芸術』にも終わりが訪れる事となる。誘爆により自分の別の姿であるバッタの群れをことごとく翻弄された跳流は、ダメージによりその形態を保つ事が出来なくなり、それらが一ヶ所に集約していき元の人間の少女の姿へと戻っていったのだ。
「跳流さん!」
勇美が真っ先にそう叫び彼女に駆け寄り、他の二人もその後に着いていったのだった。
そして、勇美は跳流の姿を確認する。
問題ない。五体満足な褐色肌の健康的な少女がそこには立っていたのだ。さすがに先程のダメージによりその和服は所々が痛んでいたが、この状況では勇美はそれに興奮したりという不埒な行為はしなかったのだった。
「跳流さん、大丈夫ですか?」
勇美は心配そうに跳流に呼び掛ける。いくら相手が強大な力を持った妖怪といえど相当無茶をした事は勇美にも分かるのだ。
「うむ、大丈夫じゃ」
そんな勇美の呼び掛けに対して、跳流は気丈にもそう言ってのけた。
その様子に空威張りの感じはなかった。多少は無茶をしているものの、跳流はまだまだ元気なようである。
そんな跳流を見て、勇美は安堵すると同時に言うのだった。
「跳流さん、全く無茶をしますね」
勇美のその言葉を聞いて、跳流ははにかみながらこう返す。
「それはお主とて同じじゃろう♪」
跳流は勇美が切り札を撃てなくなってもなお戦おうとした事を指摘しているのである。
「確かに、ですね」
跳流に言われて、こそばゆい気持ちの元勇美は振る舞うの
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ