第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第58話 秘策:後編
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をあるべき姿にして下さい」
そう勇美が言い切ると、神鏡の鏡面がみるみるうちに目映く輝き始めたのだ。
その輝きに照らし出されるかのように、群れのバッタ一匹一匹が余す事なく光に包まれていったのだ。
すると、荒れ狂うようにうごめいていたバッタの群れが落ち着いたかのように穏やかになったのである。
「……旨くいったかな?」
そう恐る恐るバッタの群れを見据える勇美。
確かに群れは勇美が放った光を受けて、落ち着きを手にしたかのように見える。
後は群れが『元』の跳流に戻るのを待つだけである。──そのように思われた。
だが、それは束の間の事であった。静けさに包まれていたバッタの群れ、それは正に『嵐の前の静けさ』だったのだ。
再び群れは暴風雨のように激しく暴れまわり始めたのだ。
「そんな……」
落胆した様子を見せる勇美。だが、落ち込んでいる場合ではない。彼女は新たなる神々に助力を願うのであった。今度は『愛宕様』に『金山彦命』である。そこに当然クリスタル・セルの力が加わる訳だ。
「いっけえ! 【火翔「真・メタルフェニックス」】!!」
その掛け声と共に勇美は放った。燃え盛り羽ばたく、鋼鉄の不死鳥を。
巨大な鳳凰と化した勇美の分身は火の粉を撒き散らしながら、一気に翼の生む推進力でバッタの群れへと突っ込んだのだ。そして、炎が竜巻の如く荒れ狂って辺りを飲み込んだ。
その炎に身を焼かれて、バッタが次々と飛ぶ力を失って地面へと落ちていった。
だが、全てのバッタではなかったのだった。寧ろ、先程倒したのは氷山の一角と言えよう。
しかし、メディスンは期待に満ちた目でその光景を見ていたのだった。
「すごいよ勇美! この調子でどんどん鎮圧して行こうよ♪」
一方ではしゃぐメディスンの隣にいた依姫の表情は芳しくなかったのだ。彼女には『解っていた』からである。
そんな彼女に答えるべく、勇美は口を開いた。
「依姫さん。気付いていらしたんですね」
「ええ……」
勇美に言われて、依姫は普段の彼女らしくなく、歯切れの悪い様子を見せていた。
だが、ここで意を決して言い切る事にしたのだった。
その空気を察して、メディスンは聞く。
「依姫、どういう事なの?」
「分からないかしら? 勇美はフランドールの力を借りたとはいえ、寧ろ、だからこそ無理をしているわ」
「それってつまり……」
嫌な予感がして、メディスンは口の中を不快に張り付かせながら呟いた。それに勇美は答える形を取る。
「はっきり言うとね……このスペル、連発出来ないんだ……」
「それって……」
メディスンの背中に不快感が走る。
そして、勇美は事実を無情に告げるのだった。
「つまり、もう暫くはあれを撃てないって事なのよね……」
「そんな……」
その事実を
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