第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第58話 秘策:後編
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「ぐっ……!」
一際強い呻き声を出しながら跳流は、物凄い形相を浮かべて悶え出したのだ。
「ぐああああっ……!!」
そして激しく苦しみ出したかと思うと、彼女の体から衝撃がほとばしった。
「っ……!?」
その異変に驚愕してしまう勇美。そして次の瞬間、それは起こった。
跳流の体が膨れ上がったか……に見えた次の瞬間、彼女のいた場所から無数のバッタの群れが沸き出るように出現したのだった。
「これは……!?」
勇美は困惑しながらも誰にともなく質問した。
それに対して依姫は律儀に答える。
「ええ、彼女と初めて遭った時のように、暴走状態に陥っているようね」
「そんな……」
その言葉に勇美は当惑してしまう。さっきまで楽しく弾幕ごっこを受けていてくれた存在が、見る影もなく氾濫してしまった事に。
その事を認識した依姫は、勇美に渇を入れるべく言葉を発した。
「勇美、しっかりしなさい。今のこの状況を収めるに相応しいのは貴方よ!」
「依姫さん?」
そう言われた勇美は呆気に取られてしまうが、すぐに我を取り戻す。
「そう、ですよね!」
そう言って勇美はきりっとした表情を見せた。彼女の切れ長の瞳が、より凛々しく見えた。
「跳流さんは私と再戦を受けてくれた上に、楽しんで弾幕ごっこをしてくれた。だから今はその恩を返す時ですね!」
そう言って勇美は、跳流──であった無数のバッタの群れを見据えた。
「跳流さん、今助けてあげますからね!」
勇美はその言葉を実行に移す為の神々に呼び掛けた。
それらは『石凝姥命』と『天照大神』の二柱であった。勇美最大の大技を繰り出す為の組み合わせである。
そして今回は、『クリスタル・セル』の力が加わるのである。それにより生み出される力は未知数であった。
二柱の神々の力はフランドールの一部を核として取り込まれていき、そして形作られていった。
「出来た……」
呟く勇美の頭上には、神々の力で創られた大鏡があった。それも……。
「何て大きいの……」
そうメディスンが呟く程であった。──何しろ、その大鏡は直径が10mはあろうかと思われる位であったからだ。
それが勇美の頭の上に、宙に浮く形で存在していたのだ。
だが、勇美がその神の鏡を現出していた間にも、バッタの群れはその場にいる者達を無差別に襲う勢いであった。それらが起こす羽音が嵐のように辺りに鳴り響いていた。
──まるで、跳流の苦しみを表すかのように。
準備が整った勇美は、呟くように言った。
「跳流さん、苦しいでしょう。今助けてあげますからね……」
その後、彼女はその救いの手の名を紡ぐ。
「【明符「真実を明かす鏡」】」
宣言した後、勇美はバッタの群れを指差しながら言った。
「神々よ、お願いします。跳流さん
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