第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第57話 秘策:中編
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でしまった。
対して依姫の方は冷静にその様子を見ていた。そして、諭すように跳流に言う。
「メディスン、勇美を信じなさい」
「でも、あの攻撃は……」
それを聞いて依姫はメディスンがそう思うのも無理はないと感じた。
その理由は、かつて自分も豊姫にそのような感情を抱いた事があったからだ。自分は大丈夫でもそれ以外の者はどうなのかという不安からであった。
だが、心配は無用だったのだ。あの時豊姫は永琳の仕掛けた罠を使い、見事に首謀者を捕らえる事に成功しているのだ。
だから、依姫はメディスンに言う。
「信じる事は、その者への礼儀であり信頼になる。
そして、その者は必ずではないけど応えてくれる。だから必要な事よ」
「『信頼』か……」
その言葉をメディスンは噛み締めた。
信頼。その言葉を乱用して他人を従わせる事に利用する者は多い。
だが、今の場合はそれとは無縁の、純粋な思いとなるのだ。
「分かったわ、勇美を信じる」
だから、信じて見守る。その事をメディスンは選ぶのであった。
そうメディスンが心に決めている時にも、当然ながら勇美には跳流の放つ猛攻が迫っていたのだった。
だが、勇美の表情を見ると……。彼女は微かに笑みを称えていたのだった。
それにメディスンは気付く。
「勇美、笑ってる……」
勇美の様相を確認して、メディスンは思わずそう呟いた。
この状況で笑みを浮かべる。そのある種異様な光景にメディスンは身震いすら覚えるのだった。
だが、それと同時に得体の知れない期待も生まれてくるのであった。そして、メディスンはこう思う。
──今の勇美なら、何かしでかしてくれるだろうと。ならば、自分はそれを見届けるだけであると。
そして、当の勇美はと言うと、こんな事を思っていたのだった。
(遂に、『秘策』を使う時が来たか……)
そう感慨深く想いを馳せる勇美。そして彼女は懐から『ある物』を取り出す。
それは、手のひらサイズの水晶のようなものであった。そう、先日フランドールから自分を救うのに奮闘してくれたお礼にと貰った、彼女の文字通りの意味での『体の一部』である。
その物を見た跳流は首を傾げた。
「何じゃ、それは?」
その疑問に勇美は答える。
「名付けて『クリスタル・セル』。
私の大切な友人の体の一部の細胞で出来た物です。
私はこれを使って精進します」
……。この瞬間、跳流は「何か変な物が出てきたなあ」と思うのであった。セル=細胞だからって、色々混じっているなと。
相手はそんな事を思っていたが、勇美にとってはこれが迷いを捨てた証なのであった。
勇美は先日の跳流との勝負の時まで、フランドールの一部を勝負に使う事に抵抗を感じていたのだった。
それは、他人から貰った力をむやみに使
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