第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第57話 秘策:中編
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、依姫はそれを正す事にしたのだった。
「「はい……」」
そんな依姫の貫禄に縮こまりながら素直に答える二人。
気付けばその振る舞いも二人は息が合っていたのだった。
──遭えて良かった。そう二人は互いに思っていたのである。
そんな思いの片側である跳流。最早彼女には迷いはなかった。
彼女は今の考えを率直に勇美に言う。
「実にいい戦いじゃ。つまり、もう出し惜しみは必要ないという事じゃのう」
「……来ますか」
言い切った跳流に、勇美も意を決したようだ。彼女の瞳にブレは全く生じてはいなかったのである。
ここに互いに本気を出す事に了承は生じた。後は双方で悔いなく全力を出すのみだ。
まず動いたのは跳流であった。彼女はその跳躍力を使い一気に後方に飛び退き、勇美との距離を取ったのだった。
どういうつもりだろう? 勇美がそう思っていると跳流は距離を取った場所でその両足を踏み込んだのだ。
「あの時と同じって事かな?」
そう勇美は指摘した。前回の戦いでは跳流は上空に跳躍した後で一気に蹴りと共に飛び込んでくる。そういう戦法を用いたのだ。
だが、跳流の口からはこう出た。
「いや、本気を出すと言った筈じゃ。前の二番煎じなぞ失礼に当たる事はせんぞ」
「それはどうも」
その跳流の言葉を聞いて、勇美は複雑な気分になった。
跳流が自分に向けてくれる心構えは嬉しいが、当然その分手強くなるだろう。
なので、勇美は気を引き締める事にした。それに、こちらには『秘策』もあるのだ。
動じずに跳流を受け止める。それが今の勇美に出来る事であった。
勇美がそう意気込む中、とうとう跳流はその脚力で地面を蹴り、勢いよく宙へと飛び出したのだ。
そして、そのまま彼女は上空へ飛び上がると、重力を無視したようにその場に固定されたような形となった。
何が始まるのか、勇美が思っていると跳流はその場でスペル宣言をした。
「【星符「皇式流星郡脚」】!!」
跳流は宙を舞ったままの姿勢で目にも止まらぬ速さで蹴りの連打を見せたのだ。
それだけの攻撃を何故直接勇美に繰り出さないのか? そう思われたがその答えはすぐに出るのであった。
見れば跳流の蹴り捌きにはエネルギー弾と同じく緑色に輝く光が纏わり付いていたのだった。そして、一蹴り一蹴りの度にその纏ったエネルギーが放出されたのだ。
放出されるエネルギー一つを見れば、先程バッタ形態で放った弾と同じか、それよりやや大きい位だろう。
だが、それらは跳流の蹴りの連撃の度に発射されるのだ。つまりはその数が半端なかったのだった。
尋常ではない、飛び道具と化した『蹴りの群れ』。それらは容赦なく勇美に差し迫っていった。
「勇美っ!」
その猛攻の標的にされている勇美を案じて、メディスンは堪らずに叫ん
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