第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第57話 秘策:中編
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が、同時に足を露出したその衣裳は無防備極まりないのだ。詰まる所が、『中身が容易に見えてしまう』のである。
それを勇美は確かめるという偉業を成し遂げたかった訳である。
(さあ、跳流さんは何を穿いているんだろうね……)
心臓を高鳴らせながら勇美は視線を送る。
定番の生パンツだろうか。だが最悪幻想郷の少女らしくドロワーズという可能性が高い。
逆にノーパンだったら、勇美は天にも昇る心持ちとなれるだろう。
ミニ丈かつ裸足というワイルドな出で立ちの彼女なら下着の存在を知らないか、はたまた敢えて身に付けていないかという可能性もある筈である。
理由はどちらでもいい。とにかく勇美は自分が(主に依姫の制止により)成し遂げていない『穿いていない』という事実を確かめられれば心が満腹になれるだろうと思うのだった。
そして、とうとう跳流の足の付け根の秘密が明らかとなる。
そこに存在していたのは……。
まず結論は、残念ながらノーパンではなく、勇美の第一志望は打ち砕かれたのであった。
代わりに存在していたのは、V字型になり脚のラインを強調するものであった。
しかし、それはパンツの類いではなかったのだ。パンツよりも頑丈な生地で作られ、最大の特徴はその紺色である。
つまり、その結論は。
「ブルマ……!?」
勇美の指摘するその言葉が答えであった。
ブルマ。それはかつて女子の体操着の下半身の衣類として活用されていたものである。
しかし、その際どい肌の露出度が問題視され、ついには日の目を見る事はほぼ無くなってしまった代物である。
そして、幻想郷には外の世界で幻想になったものが流れ着くのだ。つまりは。
「幻想郷に辿り着いてくれたんですね……」
そう言いながら、気付けば勇美は貴重な衣類を見せてくれた跳流を拝んでいたのだった。
和服のインナーにブルマ。これ程邪道なものはないかも知れない。だが、勇美には自身も外の世界ではお目に掛からなくなった代物を目に焼き付ける事が出来、感謝の念の方が上回るのだった。
「ほう、これはブルマというのか?
そんなに貴重なのかえ? わしとしては単に動きやすいから身に付けているに過ぎんのだが?」
「ええ、もう外の世界ではお宝ものです♪」
勇美は親指を上に立てながらニカッと笑って言い切った。
ブルマを巡って、そんな変な友情がこの場には生まれていた。
だが、余りにも滑稽な流れなので、これはいけないと依姫は口を出す事にする。
「……二人とも、勝負に集中しなさい」
月でも見せたように真剣勝負の中にも、緩いやり取りは必要だというのが依姫の考え方である。それは常に意識を張り詰めさせていては身が持たず、勝負において逆効果だからなのだ。
だが、それはそれ。今の勇美と跳流は脱線にも程があった為
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