第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第57話 秘策:中編
[5/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
もそういう関係が欲しいなと。
でも、まずはこの戦いを見届ける事か。メディスンはそう思い再び二人の戦いに集中するのだった。
そして、暫く向き合っていた二人だったが、沈黙を破ったのは跳流であった。
「やはり、わしには小細工というものは、まどろっこしくて性に合わん。だから、ここからはわしらしく行かせてもらうぞ」
そう言うや否や、跳流はぐっと腰を踏み込んだ。
それを見て勇美は「仕掛けてくる気だ」と意識をそこに向ける。
刹那、跳流は一気に体のバネを使って勇美目掛けて飛び出したのであった。
来た。勇美は思った。しかし、それは好機だとも考えるのであった。
と、言うのは勇美にはどうしても確かめておきたい事があったからだ。そして、跳流は体術でも得意とするものが決まっている。
そこに勇美が狙うものへの切符があるのだ。
だが、それを確かめる為にはまずは相手の攻撃を受け切らなければ行けない。勇美は意を決して向かって来る跳流を見据えるのであった。
そして、勇美のすぐ側まで距離を縮めた跳流は向かう遠心力に体を乗せたままスペルを宣言する。
「【蹴上「バッタのトンボ返り」】っ!」
恐らくは自分はバッタなのに、そう自虐的な意味合いを込めて名付けたスペルであろう。
(いけるっ……)
それを聞いて勇美は思った。確かめたい事を知る、これとない条件だと。
だが、まずはこれから起こる攻撃を防がねば。勇美はそう思い、心の中で神々に念じた。幾度となくお世話になっている『祗園様』と『金山彦命』にである。
「【地護「アースシールド」】!」
そう勇美が先回り的に宣言すると、彼女の足元から、鉄の隆起が発生したのだ。
そして、それが跳流の攻撃を見事に受け止める事となる。
何故なら彼女が放った攻撃は他でもない、宙返りから繰り出す蹴り、所謂『サマーソルトキック』だったからである。
跳流の地面から抉るように放たれた蹴りは、同じく勇美が地面から繰り出した城壁に阻まれる事となる。
「ぬうっ……」
自慢の蹴りが鉄の壁に防がれ、思わず跳流は唸り声を絞り出してしまった。
だが、彼女は妖怪。素足で鉄を蹴ってしまうという、人間で言えば大惨事(?)に至っても彼女はものともせず、逆にその鉄の壁をへこませるまでの事を成し遂げたのであった。
「っ……」
その衝撃の余波は、城壁越しに勇美まで届いたのだ。その威力に勇美は表情を歪める。
(だけど……っ!)
これで条件は整った。後はその目で確かめるだけである。
意を決して勇美は意識を向けていった。跳流の足の付け根へと。
知っての通り跳流は勇美と同じで、その身に纏っている和服はミニのスカート丈なのだ。
だから本来不安定な和服でありながら肉弾戦、特に蹴り技なんて荒業をこなせてしまうのだ。
だ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ