第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第57話 秘策:中編
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で跳流は首を横に振った。大人の事情はこの場では置いておこうと。ただ相手の攻撃に対処すればいいやと。
「!!」
しかし、ここで跳流に問題が発覚したようだ。
相手は遠距離から攻撃してきた。故に得意の体術では対処出来ないだろう。
では、こちらも遠距離攻撃をすればいいだろうか?
その答えもNOであった。前回見せた『パズズの熱風』では今の威力に対して使っても押し負けてしまうだろう。
では、再び三体に分離して回避するか?
これもNOである。今回の相手の攻撃は、凄まじい風圧である。
故に範囲が広い為、分離などすれば纏めて吹き飛ばされてしまうだろう。
即ち、跳流には残された手が存在していなかったのだ。
「ふっ……」
故に跳流は潔く敵の攻撃を受ける事にしたのだった。
そして、とうとう跳流は勇美が放った強風に飲まれた。
「くぬぅっ……」
跳流の全身を強烈な風の奔流が飲み込み、彼女を容赦なく押し流そうとする。
勿論彼女はそうはされまいと抵抗はした。その際裸足で地面を踏み締める姿は健気であり、痛々しくもあった。
だが、その健闘空しく彼女はその身を吹き飛ばされ、上空に舞い上げられてしまった。
宙を舞いながら跳流は思った。──こうもあの子は計算してこの攻撃を選んだのかと。
相手のあらゆる出方を想定して最善の対処をする。
随分したたかだと跳流は思った。
このような戦い方が出来るようになるには、相当良い経験を積まなくてはならないだろう。
今まで良い者達に遭ったのだろうな、跳流はそう思いを馳せるのだった。
(だから……)
そのような良い磨き方をされたあの子に是非勝ちたい、跳流は想いながら空中で体勢を整えた。
そして、跳流は地面に体を打ち付ける事なく、しっかりと力強く地を踏み締めたのだった。今度の裸足で踏み締める様は先程とは違い、とても頼もしく見えるものであった。
そして、跳流はその状態から立て直し、呼吸を整えるのだった。
「やってくれるのう」
思わず跳流はそう呟く程であった。
そして、その悔しげな口調とは裏腹に、跳流の様子はどこか楽しげだったのだ。
「跳流さんこそ、あそこから立て直すなんて思いませんでしたよ」
対する勇美も口調と振る舞いが一致しない、跳流と同じ様子である。
それは、彼女が今回の戦いを楽しんで行えている証拠であった。即ち、前回の時とは違うのである。
そして、両者は向き合い視線を交わせたのだ。その様子は互いに凛としたものであった。
その様子を見ながらメディスンは呟いた。
「何だが二人とも楽しそう……」
彼女のその台詞が今の二人の印象を如実に表しているのだった。
そして、メディスンは思った。──これがライバルってものなのかと。今の私には早いけど、いつか私
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