第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第57話 秘策:中編
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ミニ丈の和服に身を包む褐色肌の少女、正真正銘の皇跳流が存在していたのだった。
そして、彼女は考えを巡らせる。
(ダメージは……対した事はないようじゃのう)
そう思い、彼女は胸を撫で下ろす。
先程攻撃をもらったのは三体に分けた自身の肉体の一体だけである。故にダメージは三分の一のようだ。
当然三体ずつに分離させていたのだから耐久力も三分の一になっていた。
だが、そこは跳流は丈夫な妖怪という事である。一体一体の体の出来自体が人間を遥かに凌駕するのであった。
即ち、勇美が作戦の末に与えたダメージも余り決定打にはなっていないようである。
「……余り効いてないみたいですね」
「悪いのう、妖怪は人間とは体の造りが違うのじゃ。そこは勘弁してはくれぬかの?」
勇美に言われて跳流はやや申し訳なさそうに言う。やはりこういう律儀さは他の妖怪では余り見受けられないものだろう。
対して、言葉に反して勇美は実は余り悔しそうにはしていなかったのだ。
「それは残念……と言いたい所ですが──寧ろ『チャンス』ですね♪」
「!」
勇美の意外な言葉に、またも跳流は驚愕してしまう。
「どういう事じゃ?」
堪らずに跳流は聞き返す。
「つまり、あなたが元の一体に戻ってくれた事で『これ』が使えるんですよ♪」
そう言うと、勇美は指をパチンと鳴らした。すると三位一体の鋼の狩人達は瞬く間に解体されてしまった。
そして、勇美には次なる行使する神々に呼び掛ける手筈が整った。だが、彼女はそこでこんな事を言い始めた。
「そっちが100万パワーなら、こっちは1000万パワーですよ」
「いや、言ってる事がおかしいぞ」
跳流はたじろいだ。自分のどこに100万パワーの要素があるというのだろうか。そして『1000万パワー』とやらにも嫌な予感しかしなかったのだった。
そんな心の葛藤をする跳流をよそに、勇美は着実に準備をしていく。
「『風神』様に『祇園様』、お願いします」
勇美は風の神と、牛頭大神と合祀される祇園様に呼び掛けを行ったのだ。勇美の前で風と雷が激しく舞った。
それが収まりそこにいたのは、逞しい体躯に立派な二本角を持った──早い話が『猛牛』、それを模した機体が存在していたのだった。
「やっちゃったのう〜……」
跳流は頭を抱えて項垂れた。これは色々まずいなと。
だが、まだ彼女は諦めてはいなかった。ただ造形が似ているだけだと。コンセプトまでは同じではないだろうと。
続いてそこへ勇美のスペル宣言が行われる。
「いっけえ! 【牛符「バッファローハリケーン」】!!」
……ここに希望は潰えた。
やりやがった。もろにパクリだった。
これでもう、どこぞの超人との関係は否定出来ないだろう。
「まあいいや、そんな事」
だが、ここ
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