第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第56話 秘策:前編
[4/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
りますか?」
そう微笑めいた表情で依姫は返した。
それに対して豊姫はこう言う。
「それはもう、依姫は私の妹だからね〜♪」
「な、何言ってるのですかお姉様!」
「あっ、依姫のそんな所見れてラッキー♪」
メディスンは普段中々見せない依姫の態度を面白がり茶化した。
だが、その一方でこうも思うのだった。
(姉妹……か……)
思えばそれは一人で九十九神と化したメディスンには無縁の概念であった。
故に彼女は孤独であったのだ。
確かに彼女を産み出す事となった鈴蘭達とは心を通わせる事は出来る。
しかし、言葉を交わせ合い話に華を咲かせ合える存在は自分の周りにはいなかったのである。
そんな彼女に特にかまけてくれたのが勇美であったのだ。そしてメディスンにとって永琳に次ぐ親友となった訳である。
つまり、メディスンに人と人との温もりを教えてくれたのは勇美なのであった。
だからメディスンは思うのだった。──この勝負、是非とも勇美に勝って欲しいと。
勇美に勝って欲しいのは依姫も同じであった。
何故なら彼女は今まで勇美を手塩に掛けて面倒を見たり稽古をつけたりとしてきたのだ。その分勇美への想いも強いという事である。
そして、その姉である豊姫も同じ願いであった。
彼女はかつて勇美と似た志を掲げ『悪』を全うする『同志』になると言葉を交わしたのだから。
故に豊姫の勇美への想いは依姫と同様に熱いのであった。
三人に密かにそのような想いを馳せられている勇美であったが、彼女らは別段それらの想いを勇美に押し付ける考えは毛頭ないのである。
ただ、この場では勇美自身が前に進む為に相手に勝つ、それだけを望むのであった。
勿論勇美は三人がそのような心持ちである事を察する事は出来ない。
だが、先日の宴会の事からも、自分が幻想郷の者達からいかに大切に思われているのかはよく分かるのであった。
だから、その者達の為に、そして自分自身の為にもこれからの勝負、負ける訳にはいかないと勇美は意気込むのだった。
そして、改めて勇美は目の前の跳流に呼び掛けた。
「それでは始めましょうか」
その言葉に対して跳流はニイッと笑みを浮かべ、
「そなたが良ければいつでも始めよう。わしはいつでも準備は出来てるぞ」
跳流のその言葉を皮切りに二人は互いに一戦交える為の距離を取ったのだった。
◇ ◇ ◇
いよいよ臨戦体勢に入った勇美と跳流。そしてこれが勇美にとってのリベンジ戦となるのだった。
どう攻めていくか、それが勇美にとっての課題であった。
前回のように戦っては、相手に面白いようにいなされてしまうのが目に見えている。
そこで勇美は大胆な行動に出た。
「【光符「宙を彩る青き戦」】!」
天津甕星と天照大神の力を
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ